何はともあれ 切原
漏れる漏れる漏れる。これはやばい間違いなく漏れる。女子が何を言ってるのだ!って弦ちん(真田弦一郎のことだよ)に怒られそうだけど、そんなの関係ない。もうこれ以上ないってくらい漏れそうなんだ。何がって?そんなの決まってるじゃない。
「ト、イレ…」
あぁ、後10メートルくらいの距離しかないのにやたら遠く感じるのは仕方のないことだと思う。こっちは死ぬほど必死だもの。というよりなんで私のクラスからトイレまで一個下に下がらないとないんだ。理不尽だろ。
「良かった、間に合った…」
取りあえず漏らすと言う失態はまぬがれた訳で。忘れていたのだ、こいつがさっき話しかけてきたことを。
「なまえ、お前何逃げてんだよ。」
「いやいやいや、逃げてた訳じゃないから。トイレに行っただけだよ。」
「逃げてんじゃん。」
何度弁解してもわかってもらえない。なんだこいつ、イライラしてきたぞ。こちとら漏れそうで必死なんだっつーの、うら若き乙女が公衆の面前で漏らせるわけないだろ。てゆーか、何の用なんだよ。
「もういいや、で、何?」
「よくねーけど…遊びに行こうぜ。」
「はっ?今から?」
「今から。」
「あんた部活はどうすんの。」
「…サボる。」
「サボるって…」
弦ちんは怒ると恐いし殴るし、聞いた話によると幸村先輩はもっと恐いらしい。すごい度胸だな、赤也。
「だぁー!もう行くぞ。」
「うぉ!」
だけどなんだかんだ付き合っちゃうのは気の合う親友だからで。昨日喧嘩したことを謝ろうかなって思った。
何はともあれ
(ゲーセン行こう)(もち)
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