私は跡部がすきで跡部も私がすきだ。それは自意識過剰だとか思い込みとかじゃなくて、実際に、けれど曖昧に。お互いに告白は多分これからも一生することはない。(すきなのはもうわかりきっているのだ)だからと言ってすきだと言わないわけじゃない。まるで言葉遊びのように、おもしろおかしげに呟くのだ、すきだと。それが私達の関係で、それ以上でも以下でもない。私は今の状況がひどく心地よく感じる。何にも縛られず、捕らわれないこの関係が。 「跡部、すきだよ。」 アーンとお決まりの台詞で、こっちに顔を向ける彼にすきと告げる。彼も楽しげに私にすきと言う。あんな跡部の顔を見たことのある人は少ないだろう。本当は優しく笑える人なのだ。 そして、跡部はそのまま私の頬に触れたのだった。 優しい関係 (私達のすきは愛じゃない)(哀なんだ) ←→ [戻る] |