明日はどこから 1 ああ、気持ちいい…… 布団の中って極楽浄土だよね。 俺、死んだらこの中で幸せになるんだ。 あ、でも今のままでも十分幸せだなあ… 「なにグースカ寝てんだ棚町ィ!!今何時だと思ってんだこのダメ人間!」 キィンと耳に響く怒鳴り声。 紹介しよう。俺のアパートの管理人さん、 岸 真尋さんである。 こうして毎朝合鍵まで使って俺を起こしに来てくださる大変ありがた迷惑なお方です。 俺、出社とかないんで。 「まひろさぁん…朝から煩いで…すよお…」 「うるさ…!…てめェ先月の家賃払わずにこうして働かずに寝やがってその口の聞き方はねぇよなあ?」 「あー、すいません…今日って何月何日でしたっけ…?」 「四月三日だボケェ!!」 「………ありゃ」 もう四月だったのね。 それはそれは。 「チッ……仕方ねえが時間なんで俺は仕事行くけどなァ.…帰ったら覚悟しとけよ!」 バタン!と乱暴に扉を閉めて、真尋さんは仕事に行ってしまった。 さて、どうすっかな…… むくりと体を布団から起こす。 あ、俺は棚町っていいます。 パソコンと仲良しのお仕事してます。 中学高校、ちゃんと卒業してますよー。 大学はめんどくさくて行きませんでした。 まあ要は19で人生転落しかけてる華のない奴なんです、俺は。 話を戻すと、今、とってもお金に困っているんです。 お金は定期的に入るけど、まあタイミングのびっみょーなズレで家賃滞納って形になってしまったわけだ。 次に振り込まれるのは三日後。 持ち金で家賃を払っちゃったら、俺は飢餓で死ぬかもしれない。 いや、電気と水道が無いからそれ以前に生活に大きな支障が出る。 …あー!めんどくせえ! 考えんのめんどくせえ!! お布団に早く帰りたい。 その一心で、俺はまた今日もパソコンに向かうのだ。 [次へ#] |