明日はどこから
4
「ふんんっ!?」
「頼むから騒ぐな。あとカーテン閉めろ」
驚いて振り向けば、声の主はなんと倫だった。
え?は?
なんで居んの?学校は?
つーか土足!汚れる!やめろ!
…言いたいことは山ほどあったけど、顔をあげた瞬間、全て頭からすっ飛んでいった。
目の前の倫が、今までになく動揺した顔をしていたから。
俺は言われるがままに動くことしかできなかった。
内側のカーテンまで閉めてから、倫はやっと
俺の口元を解放した。
「あ……の…?これはどういムグォ」
「何度も言わせんな。ちょっと厄介な奴が来てんの」
「ぶはあっ…厄…え?ていうかこの体勢は………?」
「あ?…あ、いや…悪い」
「へ?あ、いやいや……」
って何だこのやり取り。
や、倫が後ろから口を塞ぎながら俺をこう…抱きしめてるみたいにするもんだから………って。
あ。
倫は、俺を抱きしめていた?
ってことは、…ってことは……
倫は今、超絶に不安な気持ちでいっぱいだってこと………………………だよな?
…本当に何があったってんだ。
倫が俺に安心感を求めるまでだなんて。
……どうしよう。
目の前にこんなに不安になってる人がいたら、流石に何もしないわけにもいかないじゃないか。
増してや、それが倫なんだから。
俺が知っている、相手を安心させる手段。
こないだの成果を、実践するときが来たってことですかい。
うお、成長した!俺成長したなあ!
じゃなくて。
とにかく倫を助けてあげなきゃならない。
俺は離れる倫の腕を正面から掴んで、自分の方へ思い切り引き寄せた。
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