明日はどこから 3 外出は本当に久しぶりだ。 改めて思いながら、直射日光に弱い自分を少し恨む。 どうしても一見、ただの怪しい人になっちゃうから。 洗面台の鏡の前の自分を見る。 帽子の下にパーカーの後ろ部分を被せ、上着は高校時代のブレザー。 服とかに極力金はかけない派だからな、俺。 …うん。 まだまだ現役だ………じゃなくて。 でも、これから行く目的地には好都合かもしれない。 午後の仕事はあらかじめ抜けることを近見さんには言ってある。言わば有給だ。 先月分の給料、そして家賃騒動を無事に切り抜けたためか、いくらか心が緩んだらしい。 まあでも、それを咎める奴なんて今は居ないし、近見さんも許してくれたし、オールオッケー。 勝手な解釈を纏めながら、意気揚々と家を出た。 「うっ……るせェ!!」 帰りたい。 いや、帰ってたまるか。 胸の奥の方までズンズンと響く重低音になんとか耐えながら、耳を塞ぐ。 …そう。 言うまでもなく、ここはゲーセンです。 [*前へ][次へ#] |