明日はどこから 1 こんにちは、棚町日和です。 …今は家に一人きりです。 今まで一人だったのが二人に増えるとこの言い回しが出来んだなって気付いたのが、数時間前。 相変わらずキャラの違う五條君が朝の決まった時間にいきなり起きて、すぐさま出て行ってしまった時だ。 俺はあれから一人で起きる努力をするようになった。 これ、予定外なんだけどね、真尋さん! だけど最近思うのは、俺はあの状態の倫が何やらとても気に入っているらしい、ってことである。 こんなこと言ったら殴られそうだから絶対に言わないけど、…すんごい可愛い。まじエンジェル。 密かに俺の癒しランキング上位に君臨した朝五條も、帰ってくれば生意気なクソガ…高校生に戻るわけだが、最近少し表情が増えたような気がする。ほんの少しね。 それはそれで、俺には全く関係の無いことだと言っちゃえばそれまでなんだけど。 で、今現在俺は、昼飯を食いながらテレビを見ている。 完全にニートだが、まあ落ち着け。 会社員の昼休憩と同じだって考えればいい。 ちょっと若い真尋さんポジション気分。 ……想像に限界があった。 昼のワイドショーの視聴者なんか、八割は主婦だろう。 そのへん俺は異端だと思う。 夕飯の余りをあっため直してもぐもぐと食べながら番組を見ていると、特集が始まった。 『春の恋愛相談コーナースペシャル』 お前らやたらスペシャルって使うよな! 一週間おきにスペシャルって文字見んぞ。 と、馬鹿にしたものの、俺はいつの間にか食い入るようにテレビから視線を離せなかった。 最近、「恋愛」と聞くとこの状態に陥るのが癖になりつつある。 分かりやすっ。いや分かりやすっ俺。 どうやら小学生並みの思考回路まで格下げしてしまったようだ。 ああ、倫にまた馬鹿にされそう。 はあ、とため息をつきながらいつものように一人でテレビと会話する。 『恋愛において、一番大事なことって、何?今回は街頭100人に聞いてみました!』 「全国規模でやれっつーの」 『すると、こんな声が』 「ちくしょうまた渋谷かよ!」 『ん〜やっぱ〜愛情ですよね!愛が無かったら恋じゃないじゃないですか〜。だから恋愛って字ぃ書くんですよお〜!』 て。 「……………天才……かよ……」 [次へ#] |