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明日はどこから
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じゃ、午後は仕事頑張るんだよ?と言って近見さんは電話を切った。
はい!全力で頑張れます!あなたのおかげで!!

えへへ。
ほわほわした気持ちで携帯を充電しようとすると、再び茶髪が目に入る。

げ、忘れてた。
ていうかこいつ、学校とか大丈夫なのか。
…へっ、俺が知ったこっちゃないね。
自業自得の寝坊だろ。単位落としてもしらねえぞ。



……幾ら心の中で嫌味を唱えようが、倫は起きる気配が全くなかった。
顔を枕にうずめて、制服のまま、うつ伏せになって規則正しく寝息をたてている。
俺の服は入らなかったらしい。

今日、平日なんだけどな。
まあでも分からなくはない。いきなり水曜日あたりを土曜日だと錯覚するアレは俺もしばしば経験している。
後ですごい虚無感に苛まれるやつな。


…そう思うとちょっと可哀想になってきた。
……今朝を抜かせば昨日は料理も洗濯もしてくれたしなあ。
ちょっと恩知らずすぎたかな。



……ったく。








「おーい、おーきろー」


「……」


「朝だぞー…いや、昼じゃん。昼だぞー」


「………」


「学校遅刻だぞー」


「………」


「おいコラいい加減起きろって」


「………」








倫はピクリとも動かない。
ゆさゆさと肩を揺らしてやっても小さいうめき声をあげるだけで、起きようとしなかった。強情な奴め。

ちょっとカチンときて、無理やり腕を押して枕から顔を引き剥がす。



……のだが。












「…えっ………と……」








倫は目を既に開けていた。
うっすら、天井の少し下の空間を見つめるようにして瞳が虚ろに揺らめいている。
起きてんのか、寝てんのか。






「り、倫…くん?だいじょぶ?」


「……うん」


「…学校、始まってるよ?」


「…うん……」






うん、って。
うん、だって!!

誰だよ。誰なんだ五條倫。キャラ違いすぎて別人だよ。
とりあえず朝弱いのは把握した 。
どうする、俺。目覚まし時計が一日で使い物にならなくなる事態。






それから間もなくむくりと起き上がると、倫は無造作に置かれた学生鞄を手に持ってフラフラ外へ出て行ってしまった。

そんな背中が危なっかしくて、いってらっしゃい、と言ってみると、今度はおう、って返ってきた。
あ、これはなかなか良い。
この中間の口調が一番、年相応って感じする。
帰ってきたらこれが、ああ、に戻るんだろうけど。










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