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ジョーカーを引いた?2
綱吉と獄寺は、ぼんやりと少年を見上げた。

背は獄寺より上…山本と同じくらいだろうか。
中途半端な長さの髪は純粋に黒で、瞳の色も同じく漆黒。
肌の色も若干白いが、それでも日本人らしい色ではある。
確かにそれなりに顔も整っていて、『綺麗』という部類には入るのだろうが、銀髪紫瞳の七歌とあまりにかけ離れた容姿に、思わず呆気にとられてしまう。
本当に血が繋がっているのだろうか?

「こんな格好で悪いな。
 今ちょうどフロあがりだったからさ」
「風呂?」
「そ。…まぁ上がってけよ。
お茶菓子くらいあるし」
「いや、でも…」
「気にしない気にしない」

悪気のない笑顔で言われてしまっては断るわけにもいかず。
綱吉と獄寺は顔を見合わせ、うなずいた。




豪邸は、内部もやはり豪邸だった。
広すぎるリビングにある全ての物は、どんな小物に至っても全て値の張りそうなものばかりで、手に取るばかりか近付くことすら躊躇われてしまう。
きっと自分の家にあるものとでは、値段が一桁くらい違うのだろう。

隣で紅茶をすする獄寺は綱吉よりも落ち着いていて、皿やカップをしげしげと見つめている。
そわそわと落ち着かない綱吉は、クッキーでも探してくる、とキッチンに消えた少年に声をかけていた。

「あの…お兄さん、名前はなんて言うんですか?」
「名前?…あぁ、言ってなかったっけ。
 俺は九原霞」
「くは、ら…?雪城じゃないんですか?」
「あぁ、そっか。悪い悪い」

キッチンからお菓子を持って少年――霞が顔を出す。

「俺と七歌は兄妹とかじゃねーんだ。
 血も戸籍も繋がってない…まぁ、言ってみりゃ赤の他人だな」
「えぇ?じゃなんでここに住んでるんですか?」
「同棲?…ってことは」
「いやいや、恋人でもないから」霞は苦笑する。「共同生活っていうの?寮生活みたいなことしてんだ。俺ら。食費や光熱費は割り勘でさ」
「へぇ…」

クッキーをつまみながら綱吉は感心する。
ということは、あの綺麗な庭も、この大きな家も、全て自分たちで管理している、ということだ。
綱吉が尊敬のまなざしで見つめると、霞が照れ臭そうに首を振る。
それを見て、獄寺がつまらなそうにクッキーを口に詰め込んだ。

「で?雪城はどこにいるんだ?寝てんのか?」
「あー…七歌は今、ここにいないんだよな」
「病院…入院…?」

思い浮かんだことをそのまま口に出す。
もしかしたら連絡が取れなかったのも入院していたからだったのでは。
すると霞は大げさに首を振った。

「違う違う!七歌は今、…久しぶりに家族にあっててな、旅行中なんだよ。
 …あいつの両親は元々共働きで外国暮らしだからな」
「外国暮らし!」

なんだか金持ちそうな響きだ。
だがそう言われれば家が大きいのもうなずける。
外国の家は大きいのが普通らしいから。

「…ん、どうした?」

獄寺が立ち上がったのを見て、霞が声をかける。
だが獄寺はそれを無視し、綱吉に言った。

「十代目、そろそろ帰りましょう。
 雪城もいないって話ですし」
「…ん、そうだね。
 じゃあオレ達、そろそろ」
「もうか?ゆっくりしてっていいんだぜ?」
「いえ…その、迷惑だし」
「てめー十代目に手間かけさせんなよ」
「その十代目ってのなに?」
「てめーには関係ねぇ!」

わいわい言いながら廊下を歩く。
元来た通路を歩くだけなのだが、なにせ廊下も大きいし広いので不安になる。
獄寺が先陣きってどんどん先へと進み、一番後ろから霞がにこにこと着いてくる。
ちょっと変な光景だった。

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