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ジョーカーを引いた?1
「どうしたんスねぇ、雪城の奴」
「……そうだね…」

隣にいる獄寺に気づかれないよう、溜息をつく。
……本当にどうしたんだろう、七歌。

彼女が学校に来なくなって、早一週間以上が過ぎていた。
風邪らしい、ということで学校にも連絡がきていたが、ここ三日は連絡が取れないらしい。
関係が噂になっている風紀委員長に殺されたとか危ない話まで飛び交っているようだ。

「つーか大丈夫っスよ、十代目。
 きっとアイツは元気ですって!」
「いや、元気だったら学校休まないよね…」
「きっとサボってるんスよ。
 あの女、なかなかやるっスよ」
「そうなのかなぁ…」

苦笑しながら、そうならどれだけいいか、と思う。
もちろんこれから行けば分かることだが、どうにも気が気でならない。

二人は今、大事な書類を渡すという理由で、一路七歌の家を目指していた。
本当は綱吉が担任に頼まれたものだが、書類と一緒に渡された地図が読めない彼の為に獄寺が名乗りをあげてくれた。
それを見て一緒に行きたいな、とぼやいていた山本は、急な部活が入り、今頃はグラウンドで汗を流していることだろう。

「雪城の親ってどんな顔なんスかねぇ…」
「どうだろうね…。獄寺くんは、七歌のことなんか知ってる?」
「何も知らないっスよ。
 …あ、でも転校前にコクヨウにいたことなら聞きましたが」
「黒曜…って、隣町じゃん。わざわざ並盛に…なんでだろ?」

並盛中、といえばここらでは不良の巣窟として有名だ。
わざわざ黒曜中を転校してまで並盛中に来るなんて、七歌の性格を考えると少し変な気がする。

そんなことを考えると、地図を見て場所を確認していた獄寺が顔をあげた。

「あ、この隣の家みたいっスね」
「隣の家?…って……」

その隣の家に建っていたのは、新築住宅だった。
しかも、大きさも自分の家とは比べ物にならず、家というより豪邸だ。
両隣が普通の家なので余計にそう見える。

「お金持ち…なんだね…」
「つーか明らかに浮いてますよね、コレ」

表札を見ると、確かに『雪城』と書いてある。
どうやらここが七歌の自宅らしい。
二人で顔を見合わせて、チャイムを押す。

「もし外国語喋る人だったらどうしよー…」
「大丈夫っスよ。七歌だって日本語喋ってるし」
「あ、そうだよね」
『はーい、どなたっすかー』

だるそうな男の声から聞こえてくる。兄弟だろうか。

「あ、七歌…ちゃんのクラスメイトの、沢田です。
 学校で渡されたプリントを届けに来ました」
『七歌の?…あー、悪いね。そこ開けて、中入ってくれる?』
「え?」

門を手で押すと、鍵が開いているらしく、簡単に動き出す。
そのまま二人で中に入り、お抱えの庭師でもいるのか、綺麗に整備された庭の真ん中を歩いていく。

「すごいね…」
「普通の住宅地じゃねーのかよ、ここは…」

周囲を見回しながらそれぞれに呟いていると、玄関のドアが開く。

「いやぁ、悪いな!」

現れたのは、黒髪に長身の……なぜか上半身裸な、少年だった。

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