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Bunny barney (長編)
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昔、とある武家に女の子が生まれた。続いて、年子でもうひとり。姉はシノ、妹はユキ。両親は二人の幸福を願った。

 姉は優しい子だった。妹はやんちゃな子だった。妹が悪戯をして怒られ、姉が慰める―いつからだろう、それが崩れたのは。

 妹が初めて刀を握ったのは八歳の時だった。そして、まず最初に姉を負かし、十歳の時に師範を負かし、十二歳の時に父を負かした。
 寺子屋に行ってひと月、妹はそこで一番の成績をとった。

 反対に、妹に剣で負けた姉は、二度と剣を振らなくなった。代わりに、努力して努力して手に入れた、五番目の成績は、妹が簡単に追い抜いていった。

 姉は思った。なぜ私はひとつでも妹に勝てないのだろう? なぜ私はいつも妹のようにできないのだろう、と。妹を恨むこともあったが、それは妹が悪いことではどうしてもなかった。

そうして悟った。妹は、天があらゆる才を授けられた結果なのだと。私の役目とは? 私とは何なのか? 私の存在する意味とは?――なにもないように思えた。

そこで姉の精神は崩壊した。妹はもう、愛しい妹ではなかった。神に愛された得体の知れない何かだった。



 初めから、二人は、スタートラインから違っていたのだとも知らずに。





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