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アン・アニバーサリー





「いっただっきまーす!!」
そう叫ぶとぱきんと雑に箸を割り豚骨味のスープに突っ込む。
「…よっぽどおなか空いてたのね」
カスミは呆れながらため息をつく。
「いいじゃねーか、握手とサインでてんてこ舞いだったんだぜ?」
「…それはそれはごめん遊ばせポケモンマスターのレッドさん。
でも今日がどういう日なのかはわかってたはずではなくて?」
「そーだけどさー!」
ずずっと麺をすすり、スープを飛ばす。
汚い!とカスミにげんこつをくらうレッドのもとに、気づいたファンが殺到してきた。

「…大変ねぇ、人気者は」
肘を立てギョーザをつつき、遠巻きにそれを見ていた彼女のもとにも近づく群集。
美人ジムリーダーをほっておく者はいなかった。
恋人と噂される、つい最近ポケモンマスターの座に座った彼が傍らにいないのだからなおさらだった。



「…カスミ、」
「なあに?」
ラーメン屋ということがわからないくらいに人がいるなかで、お互いを気にしつつも握手とサインに答えていたふたりだったが、とうとうレッドがしびれを切らした。
「この後、付き合えよ。
…わかってるよな?」
そのひとことに顔を赤くなり、しばらく硬直してしまったカスミだった。





店内にいた者の話によれば、レッドに手をひかれたカスミらは人混みに紛れてどこかへ行ってしまったらしい。
行き先を知る者はいなかったが、双方のファンがよく続いてるよな、と涙を飲んだのは確かだった。










アン・アニバーサリー
これからもこの日だけは
ぜんぶぜんぶ忘れてしまって
きみだけを想っていたい。















090406
アップするか迷った駄文。
けれど更新少ないから載せちゃった(^O^)/





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