VIRTUE PLAY U

 葵の苦し紛れな声が漏れるが、そんなことは一切お構いなしの流は混ぜ合わせた唾液を飲み下す。
 ほんの僅かな口付けだけで、二人の情熱には火が点った。
「犬歯があたるよ、流」
「吸血鬼なんだから仕方がないだろう」
 長い牙を覗かせて笑う青年は、首に絡められた腕を解いて細い指を口に含み、口腔でねぶりながら少しずつ変貌を遂げていく少年を眼で追いかける。熱を帯び始めた表情に恥じらいはない。
「どうした、葵。運動とはただ単にセックスがしたかっただけのことかね? 私は君が、とんでもない意地悪をしてくれるのかと楽しみにしていたんだが」
 指を離し、捲くりあげたシャツから見える胸元を責めると、金色の髪がふわりと揺れた。
「違っ! 僕が盛ってるみたいな言い方、止してよ!」
「これで盛ってないと言うのかね? 昨日もさんざんやったのに、私にはそれでは足りなかったと聞こえたのだが……」
 更に強く、重点的にそこを責めると長い睫毛と閉じた瞼が震える。
 嫌と言うほどの感覚を与えられる場所を、身体を交えた仲の彼が知らないわけがない。行為に拍車がかかる。
「盛るの意味、違うから!」
「私は見越しているんだよ。君は今に盛る。早く挿れてくれと泣き喚いて、自分から私を跨いで腰を振ってくる」
「――!」
 血に染まった瞳が笑う。不埒な発言に赤面した顔を舐め尽くす勢いで見つめると、葵のほうは耐え切れず蒼眼を背けた。
「良い顔だ。君は言葉責めにされるととても素直になる。虐め甲斐があるよ」
 薄い唇がうっすら笑うと、それは口を開けて胸元へ迫る。
「――あぁっ!」
 みずみずしい果実を啜りあげるように胸飾りを吸い、舌で嬲って硬くなったそこを蹂躙し続ける。唾液にまみれたそこは濡れ輝く。少年の息遣いが荒くなると同時に左胸から激しい鼓動が聞こえてきた。
「そのうち君は、乳首だけで達せるようになるかもしれないな」
 感心半分、嘲り半分。赤眼の吸血鬼は喉を鳴らして笑った。もちろん相手の顔を見ることも忘れていない。
「馬鹿みたいなこと言わないでよ」
 少年はささやかながらに反抗するが、
「いや、私は本気で君を調教してあげてもいいんだよ?」
 真面目にそんなことを言われて返答ができなくなった。
「――っ!」
「本当に素直だね、君は」
 てらてらと輝く葵の唇を舐めた流は、そのまま舌を差し入れてもう一つの舌を絡め取る。口腔で与えられる舌の感触は溶けてしまいそうなほどに優しい。


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あきゅろす。
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