RADICAL MAIN 1章 T

 ガーディアンを兼ねた観察記録員の七海さんと知り合い、新しい家での生活も穏やかに過ぎていった。
 一日の大半を彼と一緒に過ごしている僕は、外出の度に色んな所へ連れて行ってもらえることを楽しみにしている。
 今日の出かけ先はガーディアンの養成所。
 ガーディアンとは、この世界で生きる人達が体内に必ず持つとされるクリスタルを命懸けで護る人のことで、憧れの職業としても人気だった。
 僕達の家からほど近い場所にある養成所は、国の支援を受けていて他の場所より規模が大きい。
 七海さんの後ろをついて厳重な警備の正門をくぐると、そこには大きな広場があって噴水と休憩用のベンチがあった。
「凛々、先に書類を提出してくるからそこに座って待っててくれ。うろちょろすると迷子になるから大人しくしてろよ」
「うん。わかった」
 偉い人と会わなきゃいけないと言っていた七海さんは、ビシッと決めたグレーのスーツを正すと腕時計を見て足早に建物の中に入って行く。それを見送って一人になった僕は、ベンチに座って辺りを見渡した。
 噴水を中央に取り囲むベンチ、さらにその後ろに花壇。ぐるりと円形になったここから十字に道が伸びていて、左右にはフェンスで囲まれたグランドがあった。
 左のグランドでは魔法の授業。右のグランドでは剣術の授業。どっちも二人一組になって激しいバトルを繰り広げている。
 戦いのノウハウがない僕にしてみれば、両者共に圧巻される光景で純粋に凄いなと思う。自分が腰に下げている銃なんかただのお飾りでしかない。その事実が悲しくなってくる。でも、この銃を使えるようになりたいとは到底思えなくて、今日にいたるまで一度も引き金を引いたことはない。できれば一生、そんなことは訪れないでほしいとも思ってる。
 ネガティブな考えに耐え兼ねて空を仰ぎ見れば、小鳥が小さな羽を広げてどこかに飛んでいくのが見えた。
「……はぁ。退屈だなぁ」
 そんな独り言を呟いてまたグランドを見ると、剣の授業はもう終わったのか訓練生が綺麗に整列している。それからしばらくして、蜘蛛の子が散るようにバラバラになって出口へ歩きだす。仲間同士の談笑がこっちまで聞こえてきて思わずその方向を見ると、ある五人組のグループが目についた。
 特に行いが悪いとか声がうるさいとかじゃなくて、五人のうちの一人に珍しい髪色の人がいて思わずじっと見つめてしまったんだ。


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あきゅろす。
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