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『どうした?お前が本当に求めて止まぬモノはもう一人の家康とて、コレだろう?早くするんだ、三成。それともお前は殴られるのが好きなのか?』

「……ッ…」


頬へ自身を押し付け、罵詈雑言とも取れる言葉と共に催促してくる黒家康から目を反らすと、三成は憔悴仕切った様子で言われるままに、それへと紅い舌を這わせ始めた。















黒家康がいない間であれば三成へ近付ける事が分かり、家康はあれから幾度となく三成へ話しかけたがやはり全く声は届かず、姿も三成には見えなかった。


「あの家康は、私の咎だ…」


ふと、三成が一人でいた時に漏らした言葉に家康は必死に首を振って訴えた。


「三成!それは違う…違うぞっ!あれはワシの昏欲だ。お前との戦前で気持ちが暴れていた時のものだろうな…すまない、三成…」


どれ程思っても、謝罪の言葉を並べても、三成には届かない。

このまま三成の側へいても何も変わらない…

家康は断腸の思いで決意し、三成の手を握る仕草をする。

やはり三成の手をすり抜けた。


「三成、必ずお前をもう一人の悪しきワシから救い出す。だから、もう少しの間だけ…耐えてくれ…!」


自分の身体を使ってもう一人の自分…黒家康が再三、三成へ暴力を振るい、犯していることを見せつけられている分、家康は三成を助けられない辛さを痛いくらい味わっている。

見ていて何も出来ないなら、少し離れて助ける策を必死に考える方がいい。

家康は三成の手へ口付けを一つ落とすと、そのままその場から消えた。




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