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三成が家康へ所望したものは、関西…畿内産の調味料一式に薬味、それから特産物だった。

長く大坂城に居た三成のこと、それらの所望は至極自然である。

そして快諾されたそれらは、ものの5日程で城内へと取り揃えられた。

当然ながら城内に仕える者達は東の出が多い。
故に、三成が所望したものの中には、使用用途の不透明な薬味や調味料が幾つも紛れてあって、しかしながら、家康の命では届いたその日にそれらを使って調理するよう言い付けられている。

調理場の者達皆が頭を抱えて降参していた。


「退け。使用方(しようかた)が分からぬなら私がやる」








家康は驚いていた。

待たされているのは三成の一室。

従者が申し入れてきた内容をもう一度頭の中で思い出す。

"今宵の上様への夕餉は三成様がお作りになられるそうです"


家康は三成の手料理が食べられるという事実に歓喜しているが、一部の従者の間の中には、三成の事を未だ信用しておらず、毒を盛るのではないかと家康の身を案じている者もいる。

しかし、そんな従者の心配もいつもの眩しい笑顔で一消、三成の足音が近付いてくるのを察すると、従者達を部屋の外へと放り出した。


「家康。襖を開けろ。両手が塞がっている」


襖の向こうから唐突に下された命令に家康は何の躊躇いもなく、言われた通りに襖を開けてやる。

将軍をあごで使う正室など、三成以外にいない。

入ってきた三成の出で立ちは流石というものであり、片手で膳を持ち上げ、更にもう片手では大きめの酒瓶を掴んでいる。

そのまま部屋の中央まで進み、家康が座していた座布団の前の辺りへそれらを置いた。




あきゅろす。
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