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「あった。」

 ややあって、ハグリッドは小さな黄金の鍵をつまみ上げた。それに呆れつつ、結悟も上着のポケットから鍵を取り出して渡す。
 子鬼はそれらを丹念に丁寧に調べてから、承知の旨を伝えた。

「それと、ダンブルドア教授からの手紙を預かってきとる。」

 胸を張って重々しく言うハグリッド。こういう時はあまり神経質になりすぎない方が良いとはいえ、ここまで堂々とするのもいかがなものかと結悟は苦笑した。

「713番金庫にある、例の物についてだが。」

 子鬼は渡された手紙を丁寧に読むと、了解したとハグリッドに返した。

「確かに全ての金庫へ案内させましょう。グリップフック!」

 グリップフックと呼ばれた子鬼について、三人はホールから続く無数の扉のうちのひとつへと向かった。

「713番金庫の例の物って、何?」

 その道中ハリーが訊いた。

「それは言えん。」

 いわくありげに答えるハグリッド。

「極秘じゃ。ホグワーツの仕事でな。ダンブルドアは俺を信頼してくださる。おまえさんにしゃべったりしたら、俺がクビになるだけではすまんよ。」

「それに過ぎる好奇心は死を招くこともある。…気を付けなよ。」

 まさか結悟がここで割り込んでくるとは思わなかったのか、二人とも驚いたような表情を浮かべるが、その時ちょうどグリップフックが扉を開けた。
 そこは松明に照らされた細い石造りの通路だった。急な傾斜で落ち込み、その床には小さなレールが付けられている。
 グリップフックが口笛を吹くと、こちらへ向かって小さなトロッコが上がってきた。この人数で乗れるのかと結悟は思ったが何とか乗り込み、発車。

「〜〜〜〜っ??!」

 一気にトップスピードまで到達したであろうトロッコは、トロッコ内の状況もお構いなしにビュンビュン走る。左へ、右へとスピードを緩めることもせずに複雑な迷路を疾走していく。
 途中ちらっと何か紅い物が見えた気がしたがどちらにせよ確かめるのは無理だろう。
 更に深く潜り、地下湖のそばを通る。そこにあった巨大な鍾乳石や石筍に結悟は目を奪われた。

「僕、いつもわからなくなるんだけど」

 そんな時、ハリーが声を張り上げた。

「鍾乳石と石筍って、どう違うの?」

「三文字と二文字の違いだろ。たのむ、いまはなんにも訊いてくれるな。吐きそうだ。」

 真っ青なハグリッドが見当違いの答えを返す。

「ハグリッド、それじゃ答えになってないよ。
 ポッター、鍾乳石ってのは洞窟の天井から生えてるやつで石筍ってのは地面から生えてるやつの事。」

 そう言った結悟に、ハリーは何か言いかけたが丁度そこでトロッコが止まった。


 ふらふらと壁に寄り掛かるハグリッドに、本当に吐かないか心配になった。





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あきゅろす。
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