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「けどどっちが先かなんて確かめようもないし、そもそもこんな考え自体が一笑に付されるだろうし。あーでも若気の至りで許されっかな…って、そうじゃないか。
 けど、血脈の問題は魔法族の根本的な問題だと思うよ。そこに批判を飛ばすってことは、良かれ悪かれ今まで築き上げてきた総てを崩すことにもなりかねない。それくらい複雑で根強い問題だ。
 それについてその年で真剣に考えられるってのは大したもんだけど…まだまだ若いんだから、それに捕らわれることがあっちゃあ、これからの人生勿体ない。
 …もう少し、考え方を柔軟に持たないと。」

 そう言ってから、結悟ははたと気付く。

――何偉そうに…!てかこれこそ子供の言う事じゃないし!!

「あー、っと…ルフィルはさ、自分の両親、嫌い?」「そんなことない!!」

 今の今まで衝撃を受けた顔をしていたルフィルだが、その問いかけには即答した。

「嫌いなわけないわ。あたしを生んでくれて、育ててくれて、ここまで自由にさせてくれてるもの。尊敬だってしてる!」

 必死になって訴えるルフィルに、なんだか微笑ましくなって、結悟は起き上がって言った。

「両親を尊敬してるってことは、すなわち血脈を誇るって事じゃないのかな。
 それに、ルフィルはレイチアード家に生まれたからそうやって考えれたんじゃないの?ルフィルが“ルフィル・レイチアード”だったから、今こうして話せてるんじゃないかって、アタシは思うんだよ。
 自分の生まれを、血脈を誇るってそんなに悪くないと思うんだ。
 …アタシは、父さんが徒人だけど、でもだからこそアタシが生まれて、母さんがおじいちゃんとおばあちゃんの娘で、末廣の血を引いていたからこそ、アタシが生まれたんだって、勝手に思ってるし。
 アタシが、今のこの“末廣結悟”であるのは、末廣の血脈で、母さんと父さんの娘だからだ、ってね。」

「あたしが、レイチアード家の、パパとママの子だから、だからこそ、あたし…。」

 確かめるように、しかしどこか呆然とした声で表情で呟くルフィル。

――混乱、させちゃったな…

 そんな彼女に対し少々申し訳ないような気になりながら、言う。

「んー…なんかごちゃごちゃしてっけど。アタシ独自のヘンテコな考え方だからさ。だから、純血にも価値や意味はあると思ってるわけ。
 純血主義論も解らんでもないよ…でも、純血主義の奴らは自分の血を誇ってるんじゃない。
 かつてはそうだったかもしれないけど、今じゃただ驕って…今ある地位に酔い痴れてるから嫌いだね。」

 そう言って、シーツをめくって結悟は本格的に寝る体制に入る。

「あ、あとさ、あんまそーいうことスリザリン寮生の居る前で言わない方がいいと思うよ。余計なお世話かもだけど。」

《オイ言い逃げ。》

――うっせ。

 じゃおやすみー、と手を振りついでに天蓋をおろし一方的に会話を切る。

「おっ、おやすみっ!」


 慌てたような返事が返って来たので良しとする結悟だった。





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