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――トイレとか洗面台もシャワールームにあんのかな…

 結悟はそう思いつつ部屋を登録しようと、左手をスッと伸ばした時だった。背後で衣擦れの音がした。
 起きていたのか起こしたのかは解らないが、とにかく見られて嬉しい事ではないので左手をおろし振り向く。

「ずいぶんゆっくりしてたのね。」

 天蓋を上げたベッドの縁に腰かけて気取ったように言う女の子。前髪ごとまとめてツインテールにしてあった金髪はおろされていた。言わずもがなルフィル・レイチアードである。

「ねえ、あなた純血?」

 何度訊かれたかわからないその質問に、結悟も何度答えたかわからない言葉を返す。

「そう見えない?」

 肩をすくめてみせれば、皆勝手に勘違いしてくれるのだ。が、しかし目の前の女の子は途端に目を輝かせ、

「やっぱり違うのね?!」

 ぴょん、とベッドから降りると結悟に詰め寄って来た。

「あなた、ボートに一緒に乗ったじゃない?そのときにあたし一目惚れしちゃったの!でもまともにお話しできないまま別れちゃって…しかもルビィったらあなたが女の子だなんて言いだしたのよ!あたしはそんなの信じなかったわ!それで、あなたがハリー・ポッターとウィーズリーと一緒のコンパートメントに乗ってたって聞いて、それであなたはきっとスリザリンには入らないだろうなって思ったの。あたしの家は代々ずっとスリザリンだったけど、あたしもそうなったら、きっとあなたとはもうお話しできないから、帽子さんに一生懸命お願いしたの…でもダメだった…それでポッターがグリフィンドールになったじゃない?だからあーあって、すごく残念に思ったんだけど、あなたスリザリンに入ったじゃない!あたしもう嬉しくって!!とってもとってもお話ししたかったの!でも席が遠いし、それになんだか全然楽しそうじゃなかったから…でもね、時々声は聞こえてきて…それで、あなた何を訊かれても答えを濁してたでしょ?とっても上手でびっくりしたわ!それに純血かって訊かれて、バカみたいに自慢げにそうだよって言わなかった!もしかしたら、って思ったの。だからあたしルビィとレオンにきっちり頼んだんだけど…ああ、まさかあなたが同じ部屋だなんて!!ネームプレートを見て、すごくがっかりしたけどすごく嬉しかったわ!!」

 彼女はきらきらとした表情で、結悟が理解できるギリギリの、本当にギリギリの速さでそう言った。
 その勢いたるや息もつかせない程であった。そんな結悟のぽかんとした顔に気付いたのか、

「…あ、ごめんなさい、あなた日本人だったわよね…」

 とたんに、しゅんとした表情になる。

「いや、えーと、大丈夫。ちゃんと、全部聞き取れたから。」

――なんだこの可愛い生物!!

 その勢いに押されて言葉も出なかった結悟は、やっとそれだけ言った。

「本当?良かった!あたし、ルフィル・レイチアード!!ルビィって言うのはルバニスのことで、ホラ、一緒にボートに乗ったでしょう?あの赤髪の方!金髪の方はレオンよ。小さい頃から一緒にいるの。」

 嬉々とした表情で彼女はそう言う。

「えーと、ユイゴ・スエヒロ。よろしく、レイチアード。」

 右手を差し出して言えば、がっと物凄い勢いで掴まれる。

「レイチアードなんて…ルフィルって呼んでほしいわ!」


「う、うん、解った、ルフィル。アタシもユイゴでいいから。」

「ええ、ええ、解ったわ!これから7年間、よろしくねユイゴ!!」


 にこにこと裏の無い笑顔を向けてくるルフィルに、また懐かれたと苦笑いをこぼす結悟だった。




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 スリザリン寮内は完全に捏造です。

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あきゅろす。
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