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そんなこんなで、監督生に連れられて寮に着いたスリザリン生一向。
――うわぁ通気わっる…
合言葉を唱え開かれた石扉の先には、粗く削られた岩肌むき出しな地下室が。
魔法学校隠密乱入記 ‐027‐
スリザリンに入ったことを早速後悔しながら、結悟は寝室へと続く通路を歩いていた。
この寮の構造は、まず細長い談話室があり、その前方には暖炉、奥には通路が伸びている。
その通路は談話室からまっすぐ続く五人は並べそうな広いメインストリートとでも呼べるものと、そこから等間隔で伸びるメインストリートよりは狭いもの、さらにそこから等間隔で伸びる三人くらいなら並べそうなものとがつながり、さながら雪の結晶の一片のようだった。
寝室は一人か二人部屋で、一番狭い通路の先にある。談話室から通路に入って右側が女子、左側が男子用の部屋になっている。
さらに、メインストリートのつきあたりには共同のシャワールームがある、らしい。
――豪勢っつーのはちょっと違うけど…金掛かってんなー。
《純血っつったら旧家だからな。金も有り余ってんだろ。》
――え、そう言うこと?後付け?
《…じゃねぇの?》
――…考えないことにしよう。うん。
かつん…こつん…とランプに照らされた石の洞窟とも思える通路に靴音が反響する。逆に言えば反響音しか聞こえない。
なぜかと言えば理由は至極簡単で、誰もいなくなるまで結悟が談話室に居たから。
そしてどうしてそんなことをしたかと言えば、人ごみが嫌いだからと言う単純な訳なのである。
《あったか?》
『…ない…。』
思わず呟いて、溜め息。交差点には誰の部屋があるかを示す標識があるのだが、三つ目の交差点に差し掛かった今でも自分の名前は見当たらない。
いったい部屋の振り分けはどうやっているのかと頭を抱えたくなった時だった。
『あ、アレじゃねぇの?』
いつの間にやら影から出てきていた瑞月にそう言われ、見れば四つ目の交差点の標識の中ほどに確かに自分の名前がローマ字で書かれていた。隣にも名前があるので、どうやら二人部屋らしかった。
――えーと、ル…ルフィ…ル?…ああ、あの子か…ホント部屋割りどうなってんだ…。
どうもあのボートのメンバーとは縁があるらしいと思いつつ、結悟は角を曲がり、名前のプレートがついている細い通路に入る。
まもなく見えた緑色のドアを開ければ、そこには鏡に映したように左右対称な緑と銀、それと黒の空間だった。ドアを開けた真正面には同じ形の本棚が二つ並べて置かれ、それらの脇に机、そして天蓋付きの大きなベッド。
右側のベッドはもう天蓋が降ろされている。自分のトランクが置かれていた左のベッドの傍へ行くと、ベッドを正面にして左の壁際には奥行きがありクロゼットが置かれていた。
部屋の形も左右対称だと考えると、どうやらこの部屋は丁度凹の字を上下ひっくり返したような形をしているようだ。
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