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聞いたことのない名前だった。まあ、映画も原作も随分割愛されていたので仕方ないだろう。
――あ。
よくよく見れば、一緒のボートに乗った金髪眼鏡の男の子だった。
暗かったからわからなかったが、透き通るような青い目をしていた。彼は少々気怠そうに帽子を取り上げてかぶり、座って待つこと数秒。
「スリザリン!」
男の子はどこかがっかりした顔で、スリザリンのテーブルに着いた。
“フィンチ‐フレッチリー、ジャスティン”はハッフルパフ、次の“フィネガン、シェーマス”は一分の沈黙の後グリフィンドールに、ハーマイオニーもグリフィンドールに。
――…長い…眠い…
次々と組み分けされていく生徒をぼーっと眺めながら、結悟は段々眠気に襲われてきた。
「レイチアード、ルフィル!」
膝丈のローブを着た金髪で黄緑色の眼をした、同じボートだった女の子が気取ったような歩き方で前へ出る。
帽子をかぶって座り、次の瞬間には帽子が口を開いたが、しかし。
「待ちなさいよ!!」
女の子がそれを思い切りさえぎって叫ぶ。彼女は帽子の縁をつかんでぐいぐい引っ張り、言う通りにしなさいとか燃やすわよとか散々脅しをかけていたが、しかし、
「すっリザリン!!」
抵抗あえなく帽子は叫んだ。女の子はすっかりしょげかえってスリザリンのテーブルに着いた。
次の“ロングボトム、ネビル”はグリフィンドール。帽子をかぶったままテーブルに着こうとして爆笑の中次の“マクドゥガル、モラグ”に渡した。
ドラコ・マルフォイは一瞬でスリザリンに、その次の赤毛でグレーの眼の、同じボートに乗った三人のうちの最後の一人“メラニアル‐ローラ、ルバニス”もスリザリン。テーブルを見ればいつの間にやらボート三人組でかたまって話していた。
――ムーン……ノット……パーキンソン……Sはまだかー…
何とか欠伸をかみ殺して、声を次々と聞き流していく。ほどなくして呼ばれたハリーは随分の沈黙の後グリフィンドールに決まった。
ふと周りを見てみれば、結悟のほかにあと三人しか残っていなかった。
――うっわ…こんな後まで呼ばれなかったとか驚きだ…
日本では“す”だから今までの出席番号も早い方だった結悟にとって、こんな状況は初めてだった。などと思っていたら、
「スエヒロ、ユイゴ!」
「はい、あっ。」
フルネームで呼ばれたら元気良く挨拶。出席番号などと考えていた所為か学生の癖か、無意識に返事を返してしまい、ひとり気まずくなった結悟だった。
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