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 その後秤とガラス瓶を買って、望遠鏡を買って、薬問屋へ向かった。腐卵臭には参ったが、それ以上に興味を引かれるものが沢山あった。
 薬草に、乾燥させた植物の根、鮮やかな色の粉が入っている瓶たちや羽の束、牙やねじ曲がった爪、ユニコーンの角や黄金虫の目玉…。
 店を出て、ハグリッドはもう一度ハリーのリストを調べた。

「あとは杖だけだな…おお、そうだ、まだ誕生祝を買ってやってなかったな。」

「ハリー、今日誕生日だったの?」

 一応知っているが、そう言う。するとハリーは顔を赤くさせて、

「昨日だけど…でもそんな事しなくていいのに…」

「しなくていいのはわかってるよ。そうだ、動物をやろう。ヒキガエルはだめだ。だいぶ前から流行遅れになっちょる。笑われっちまうからな…猫、俺は猫は好かん。くしゃみが出るんでな。梟を買ってやろう。
 子どもはみんな梟を欲しがるもんだ。なんちゅったって役に立つ。郵便とかを運んでくれるし。」

 ハグリッドのその提案で、三人はイーロップふくろう百貨店に向かった。

 二十分後、店から出て来たハリーの手には大きな鳥籠が下げられていた。その中に居るのは、雪のように真っ白で美しい雌梟。
 ハリーはどもりながら何度もお礼を言っていた。

「礼はいらん。」

 ぶっきらぼうに言うハグリッド。

「ダーズリーの家ではほとんどプレゼントをもらうことはなかったんだろうなあ。」

「うん…でも、本当に、ユイゴも、ありがとう。」

「アタシこそお礼を言われるほどじゃないよ。ふくろうフーズくらいで。」

 顔を真っ赤にさせて俯くハリーを微笑ましく思い、くつくつと笑いながら結悟はその頭を撫でる。

「あとはオリバンダーの店だけだ…杖はここにかぎる。杖のオリバンダーだ。最高の杖を持たにゃいかん。」

――杖…な。

 そうして訪れた杖屋。剥がれかかった金の文字で綴られた店名とうたい文句を眺めつつ、複雑な思いに駆られる。

――だって、ねえ…アタシ一応体は縮んでっけど17だしさ…
  こう…杖振って呪文唱えてーなんてちょっと間抜けっつーか、アホらしいっつーか…

「ユイゴ?どうしたの?」

 扉を開け、中に入っていくハグリッドを気にしながらハリーが言う。

「あ、いや、何でもない。」

 慌てて結悟も店に入った。中は天井近くまで積み上げられた何千とも何万とも言えない細長い箱たち。何とも圧倒される光景である。と、

「いらっしゃいませ。」

 突然、柔らかい声がした。ハリー、ハグリッド、そして結悟も飛び上がった。それほど突然だったのだ。
 目の前には老人が居た。店が薄暗いので、彼の大きな二つの目がまるで月のように見えた。

「こんにちは。」

 ハリーがぎこちなく挨拶する。

「おおそうじゃ。」

 老人、オリバンダーは言う。



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