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「あの…君は…?」
恐る恐る、と言った感じでハリーが結悟に話し掛けた。
「ユイゴ・スエヒロ。日本人。アタシも今年からホグワーツに通うから、よろしく。」
ちょっと笑って、ハリーに右手を差し出す。ハリーは差し出されたそれを握りながら、
「僕は、あー…ハリー・ポッター。こっちこそ、よろしく。」
やがて店内を抜け壁に囲まれた小さな中庭に出た。いや、ゴミ箱と数本の草しかないそこは庭というよりも空間と称した方が良いのかもしれない。
そんな中でハグリッドは、嬉しくて仕方がないという笑顔でハリーに話し掛ける。
「ほら、言ったとおりだろ?おまえさんは有名だって。クィレル先生までおまえに会った時は震えてたじゃないか…
…もっとも、あの人はいっつも震えてるがな。」
「あの人、いつもあんなに神経質なの?」
クィレル、その言葉に結悟は眉をひそめる。
――あんの意気地なしペテン野郎…
傘を取り出してレンガを数えるハグリッドをぼんやり見つつ、また溜息。
彼のあの態度がすべて演技だと知っている結悟には、どうにも馬鹿にされているように感じられて仕方がないのだ。
…というか、実際馬鹿にされているのだろう。
「三つ上がって……横に二つ…」
そんな事を思っている内に、ハグリッドがどうやらお目当てのレンガにたどり着いたようだ。
「よしと。ハリー、ユイゴ、下がってろよ。」
そう言ってハグリッドは傘の先でレンガを3回叩いた。
すると叩かれたそれは震え、次第にクネクネと揺れていく。
そうして真ん中に小さな穴が開いたかと思えば、レンガ全体が一気に動き一瞬のうちに大きな、それこそハグリッドでさえ余裕で通れるような大きなアーチ状の入り口になった。
――すご…
その先に続く曲がりくねった石畳の通りに、思わずめまいがした。
「ダイアゴン横丁にようこそ。」
驚いている結悟とハリーに向かって、にーっこりと笑い掛けながらハグリッドが言う。
いよいよ本当にホグワーツでの学生生活が始まるのだと、訳もなく気分が高揚した。
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