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おんなじ顔が、おんなじ声で、それぞれ言う。初めて見る双子という存在に、ただただ呆気にとられるしかない結悟。ヒトが二人、というのは何となくわかっていたのだが、まさかこの二人とは。
「それにしても、噂は本当だったんだな。」
「ああそうだとも。あの噂は本当だったようだ。」
大仰に双子が言う。
――噂…?
「あの、」
「しかしこれは驚いた!まさかこんな幼いお嬢さんだとは!」
「全くもって信じがたい!しかし我らはこの目でしかと見た!」
「ちょ、」
「そう!我らは見たのだ。何の前触れもなく鈴の音を響かせてこの地に降り立つその姿を!」
「そして呪文も杖も無く光を出現させたのを!」
――聞きやしねぇ…!!
よくもまあそこまで口が回るものだと思う程、双子は喋り続ける。一瞬本気で殺意が芽生えたが、とにかく今はこの声が周りに聞こえないように姿が見えないようにする必要があると自分に言い聞かせ抑える。
イメージするのは光化学迷彩と、遮音の壁。自分と双子の間を中心に、出来るだけ広範囲を四角く囲み結界を張る。
きぃん、と微かに空気が震える音が響いた。
「おい、今何か…」
双子のどちらかが言う。あれだけ喋っていてよく気付いたものだと結悟は驚いた。
「結界を張りました。もう姿も声も外からは判りません。
…ここに居るのがバレたらお互いまずいでしょうから。」
事も無げに言ってのける結悟は、双子が尊敬のまなざしを送っていることに気付かなかった。
「なんと!そのような事を簡単に!」
「しかも偉ぶることなく我らの事にまで気を使って!」
「まさに天使!」
「いいや天使では味気ない!やはりここは姫と!」
「そう、姫だ!」
いかにも名案!!という顔をして、双子が勢いよくこちらを向く。
「姫!我が名はフレッド!」
「我が名はジョージ!」
「「我らウィーズリーの双子で御座います!!」」
そうして二人そろって大仰に膝を折る。
「姫のお名前は?」
結悟から見て右側、フレッドと名乗った方が言う。
「…末廣、結悟です…。あの、その大げさな身振り口ぶりやめてもらってもいいですか?」
若干引きつつ返す結悟。
「…それが姫の頼みとあっては仕方あるまい。なあ。」
「ああ、仕方あるまい。」
ジョージ、フレッドの順で言う。
「しかしならば姫!姫も我らにはそのような話し方は無用!」
なおも言い募るフレッドに、こちらが態度を変えない限り向こうもふざけるのをやめないと感じた結悟は溜め息を吐いた。
――まあ、実際問題二人とも年下だし…
「解ったから。まずその姫っての止めて。んなキャラじゃないし。」
厄介なのに見つかったと、思い切り脱力した結悟だった
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