-007-
ぽむりと合掌。そして一言。
『…ごちそー様でした。』
――味は、まあ、悪くなかった…か?カボチャジュースは美味しかったけど。
がしがしと頭を掻いて、思う。素材の味と思えば、まあ苦も無く食べられた。カゴをどうするか少々考えたが、とりあえず部屋に置いておくことにした。
さてではそろそろ校長室へ向かおうかと思うが、
『歩いてくのか?校長室まで。』
しかし今はもう授業も始まっているだろうし、もしかしたら休み時間かもしれない。
今になって思い出したがこの城には幽霊も居るし絵だって動いて喋るのだ。
生徒たちに存在が知られてはならない訳ではないが、もともと騒がれるのは嫌いな結悟である。それに道順もはっきり覚えている自信は無い。
――テレポート、出来るかな…
経緯はどうであれ、この城にはテレポートで来たのだ。もしかしたら城内移動も出来るかもしれない。
――えーと、校長室校長室…のドアの前のガーゴイル像…ガーゴイル像…
いきなり部屋の中に出現するのは失礼すぎるだろうと思い、石像を思い浮かべる。
思い浮かべ集中し、片足を、たん、と踏み鳴らす。
同時にシャン、と小さな鈴をいくつも打ち振ったような音がして、その音が部屋に響き渡る頃には結悟の姿は消えていた。
魔法学校隠密乱入記 ‐007‐
シャンと、音が響いて。
『お、とっと…と。』
結悟はガーゴイル像の前に降り立った。
――お、成功。こりゃ楽に移動できるなー。
「蛙チョコレート」
その言葉にガーゴイル像はぴょんと脇に退き、ドアが開いて動く螺旋階段が現れる。それに乗って校長室のドアの前に立ち、ノックする。
「スエヒロです、アルバスさん。入っても良いですか?」
「ああ、入ってきなさい。」
返って来たダンブルドアの声に、失礼しまーすとドアを開け。迎えてくれたダンブルドアに促されるままに、ソファに座る。
「さて、まずは君に、ひとつ訊いておきたいのじゃが…
君のおじいさんはヒデハルという名前ではないかの?」
「…?!な、んで、そんな…?」
「そうじゃのう…ではこれはどうじゃ?」
ダンブルドアが差し出したのは、写真。
ずいぶん古いようで縁はボロボロ、全体的に黄ばんでいる。
そこに映っているのは2人の青年。1人は外国人だが、1人はどうやら日本人のようだ。
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