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入り口に向かってそう言うと、かちゃりという音と、絵がスライドする音。開いたその先には、

「…随分様変わりしたものですね。」

 マクゴナガルが立っていた。

「え、マクゴナガル先生、授業は大丈夫なんですか…ていうかここ入った事…?」

「心配はありません。ここには一度だけ入ったことがあります。…入っても?」

「あ、はい、どうぞ。」

 中に入ったマクゴナガルは、しばし辺りを見渡していた。その顔には驚きのような関心のような感情が見て取れた。

「…同じ緑でも、随分と印象が違うものです。」

 ぽつりとそう言って、マクゴナガルは結悟に持っていたバスケットを渡した。

「これを食べ終えたら、また校長室に来るようにと校長から言いつかっています。
 これから生活するのに必要な物などもその時に、とのことですので考えておいてください。」

「わ、かりました…けど、お金は…?」

「それも後で説明があります。」

 そう言うと、マクゴナガルは踵を返す。

「あ、朝ごはん、ありがとうございました。」

 はっとして結悟は言う。

「お礼を言われることではありませんよ。」

 マクゴナガルはちらりとこちらを振り向き、微笑んで言って部屋を出て行った。

――要るモノかぁ…まずはシャンプー類と壁紙でしょ?
  んー、カップとか食器類はあったから…
  後は…クッションとか?ああ、サンシェイドも欲しい、かな…本はかなり色々あるし…

 思いつつバスケットにかかっているハンカチを取る。
 中身はトーストにジャム、ゆでた人参にジャガイモ、ケチャップ、黄色いようなオレンジのような飲み物。

「…うわぁいイギリスだあ…」

 この黄色オレンジの飲み物は噂に聞くカボチャジュースだろうか、と若干の現実逃避。
 結悟とて野菜が嫌いなわけではない。むしろ好きな方だ。だがしかし。こうもシンプルに来られるとは。
 どうせ野菜ならサラダにしてほしいと思わなくもない。

――まず何より冷蔵庫かその代わりになるものと調理器具を買ってもらおう。


 そして朝食は自分で作ろうという決意を胸に、遅めの朝食に取り掛かった結悟であった。






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あきゅろす。
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