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 白黒もいいが、それでは今までの自分の部屋と大差無くなる。ならば…
 ぱん、と手を叩く。すると部屋全体が白と淡い白緑を基調にカラーリングされた。カーテンは白地に淡萌黄の模様、ベッドは白地に白緑・青竹色・柳茶の模様、そして絨毯や椅子のクッションもそれらに合わせて色が変わった。

――…なんか、緑緑しすぎた…か?

 淡い色の絨毯はなんだか変な感じがしたので藍海松茶に変えてみる。

『…ダメだ…。』

 木賊色、違う。千歳緑にしてみる。おかしい。鶸色、高麗納戸、御召御納戸、紺、青錆…どれもしっくりこない。江戸茶、枇杷茶、鶯茶。少しましになった。栗皮茶、海松色…

『…うん、まあ、よし。』

 むき出しの石壁に視線を見やり、

――壁紙、欲しいな…

『まあいいや、とにかく…』

 呟いて、左手をす、と地面に平行に上げる。
その手首にはまっているブレスレットに意識を集中させると、結悟の周りだけ無重力にでもなったように髪や服の裾が揺らめく。
 そうして、右手のリングをブレスレットに触れさせる。
 かちり、と音が響いて、触れたそこを中心に5つの鍵穴をつないで輪にしたような文様の、いわゆる魔方陣が現れた。
 その鍵穴のうち2つは塞がっているようなデザインだった。
 この鍵穴には部屋を登録する事が出来、小さな鍵のついたリングを使うことでその部屋にある物をどこに居ても召喚できるのだ。
 このリングとブレスレットは、結悟が小学校に入学するときに祖父から貰ったものだ。
 祖父が昔作ったものだそうで、一度つけると祖父以外には外すことは出来ないという。
 付ける者にぴったりの大きさになるそれは一般人には見えないようで、事実今までこれらを教師他に見咎められた事はなかった。

『――部屋の登録。』

 そう言うと、塞がっていない鍵穴が正面に回ってきてこの部屋を登録する事が出来るのだ。
 …出来るのだ、が。

――あ、れ?

 くるりと回ったそれはしかし、開いている鍵穴ではなく塞がった、つまりはもう部屋が登録してある鍵穴を正面に持ってきたのだ。

――どういう…?

 一応疑問に思ってみるが、この現象が表わす事はただ1つ。
 この部屋が、すでに登録されていると言う事。
 そうしてふと思い出すことが2つ。
 1つは、このブレスレットを初めて使った時の事。今と同じように魔法陣を出現させた時の事だ。現れた鍵穴のうち1つがすでに塞がってるのを見て、結悟は祖父に訪ねたのだ。どうして、もうすでに1つ塞がっているのかと。その時祖父はどう答えたのだったか。

――確か…

 そう、確か、そこはいずれ結悟の役に立つかも知れないから解除しないでおいておくようにと。よく解らなかった結悟が更に尋ねると、祖父は微笑んで、おじいちゃんの大切なお部屋だよ、と。

――大切な…?まさか…

 そして、2つ目。つい先ほど、ダンブルドアに言われた言葉。
“その部屋に住むことによって、君たちの言葉でいう結界が張られるのじゃ。これは昔、ホグワーツで教えていた日本人の教師が考えたものでのう…”
 それを聞いた時は、日本人なら誰でもいいんじゃないかと思ったのだが。

――アタシじゃなきゃダメ、って…まさか…


 しかしそれはあまりにも突飛すぎる考えだと思えた。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
部屋のイメージはニ●リのCMのあの部屋。





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あきゅろす。
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