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――何絵だ、コレ…

 そこに描かれている絵もまた何とも言い難く。
 恐ろしく簡潔に言ってしまえば着物を着た少女と森の絵なのだが、そのどちらもがメインのように描かれているのだ。
 そしておそらく、この絵を描いた画家は日本の事をよく知らなかったのだろう。
 確かに着物姿の少女ではあるのだが、髪型は花魁か天女の様で、その顔や体型は明らかに西洋人であり、アンティーク調の椅子に座ってレースの傘を持っている。
 背後の森も、西洋画でよく見るようなタッチで描かれている。

――西洋画、か?…着物っつーか、和ゴス?なんでこんな変な描き方…

『あんまりじろじろ見ないでいただけますこと?』

――??!し、喋った?!てか日本語?!つーか口調合ってねぇ!!

『アルバス、こんな不躾な子供をどうして連れておいでになったの?』

 絵の少女を見つめて唖然としている結悟がどうにもお気に召さなかったのか、少女はダンブルドアに問う。

「それはのう、ミヤビ、この子がこの部屋に住むことになったからじゃよ。」

 その言葉に、絵画の少女はピシリと表情を硬くさせる。

『…今、なんと?』

「この部屋の主を連れてきたのじゃ、ミヤビ。」

『この子供が…?こんな子供がこの部屋の主?』

「いかにも。ユイゴ、こちらへおいで。」

「え、あ、はい。」

 ダンブルドアに促されるまま、絵の正面に立つ。

『………』

「えー…っと……?」

 じとり、とこちらを睨んでくる少女もといミヤビに、少々気圧されながらも目は反らさずに。

『…合言葉を言ってごらんなさいな。』

「あ、合言葉…?」

――開けゴマ的な何か…?

 いきなり“合言葉”などと言われても、何を言っていいのかさっぱりである。

『…ご存じありませんこと?』

 さらにジト目で睨んでくるミヤビ。耐えかねた結悟はダンブルドアへ視線を送る。

「なに、そう難しく考えんでよい。君が家に帰った時言う言葉を言えばよいのじゃよ。」

「家に帰って…あー、『ただいま』?」

――なんて、んな簡単なわけ…

『…お帰りなさいまし。』

 かなり不承不承、というようなミヤビの声と共に、カチャリと音がした。

――ええええいいの?!こんな簡単でいいの?!

「では、入ろうかの。」

 そう言うとダンブルドアはミヤビの絵の額に手を掛けると、がら、と横へ引いた。



これ考えたのマジで誰だよ…。頭を抱えずにはいられない結悟だった。





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