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-004-

「…それにしたってアタシじゃなくてもいいじゃないですか。
 丁度いい時に転がり込んできたからですか?」

「いや、いや、必ずしもそうとは限らんよ。
 …今回の事に限っては君でなければならんのじゃ。」

 きらきらとした、真剣な目。容易く反らせそうな気がするが、決して反らせない、ブルー。

――〜〜〜まあ、断る理由もないし、これくらいなら利用されたところで、なあ…

 がしがしと頭を掻きつつ、考える。考えるとはいうものの実際にはとっくに決めていた。

「…では、お願いします。」



魔法学校隠密乱入記 ‐004‐



 かつん、こつん、完全に昇った太陽光の差し込む廊下を、老人と少女が歩く。言わずもがなダンブルドアと結悟である。

――朝、だったか…

 ふと窓の外を見て、思う。
 まず目に入るのは深い深い森。目線を少し下げれば青々とした芝生に、いくつもの温室、畑、そしておおきな湖。
 うっすらと何かが動いているような影が見えるのは、もしや大イカだろうか。

――おおお…ホントにハリポタだ…

 しかし、そこでふと気付くことがひとつ。

「あの、ダンブルドア先生。今って、何月ですか?」

「アルバスで良い。今は、そうじゃのう、つい昨日試験が終わったばかりじゃ。」

「あー…っと、じゃあ、6月?え、6月ですか?」

「そうなるのう。」

「え、じゃあ今ココに生徒居るんですか?」

「そうじゃのう。」

 さらっと言ってのけるダンブルドア。
 本当に何でもない事のように、さらっと。

「…えぇー…じゃあこんなもたくら歩いてていいんですか…?」

「今は皆大広間で朝食をとっておるからの。」

「あ、そうですか…。」

――生徒、居るんだ…図書館に落ちたのが朝で良かったかも…。

 試験が終わった翌日の、しかも早朝に図書館に来るような酔狂な人間はそうそう居ないだろうから。
これがもし夕方だったならば、パニックになっていたかもしれない。
 そう思うと背筋に冷たいものが奔った。もしそんなことになっていたら、自分は一体どうなっていたのだろうか。

「――さて、ここじゃ。」

 ダンブルドアのその声に、ハッと現実に意識が戻る。慌てて視線を上げれば、そこには。

――えー…っと?

 掛け軸に額を取り付けたというべきか、額に掛け軸を押し込んだというべきか…何とも言い難いが、とにかく絵が飾ってあった。



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