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-003-

「さ、お掛け。」

 老人に勧められるがままに、結悟はソファに座る。すると老人はまた杖を一振り。
 途端に、甘い芳醇な香りがふわりと広がる。

「ミルクはいるかの?」

「あ、お、お願いします…」

――つーか、子供に紅茶勧めるか…?

 老人がまた杖を一振りしミルクのピッチャーを出現させるのを見て、結悟は最早驚きを通り越しズレた突っ込みをしてしまう程だった。



魔法学校隠密乱入記 ‐003‐



 カップを傾け、ミルクティーを口に含む。

――うまー…

 飲み込んで、思わずほう、と息を吐く。

「さて、まず君の名前を教えてくれるかの?」

同じくカップを片手に、老人が問う。

「あー、と、末廣結悟、です。」

「スエヒロ…ふむ、日本人じゃの。」

「あ、はい、そうです。」

――この調子であなたは…とか聞いた方がいいのか?

 また一口こくりと飲む。ふっと視線を老人に向けると、依然ときらきらした目でこちらを見ている。

「…あの、貴方のお名前を伺っても…?」

「アルバス・ダンブルドアじゃ。ここ、ホグワーツ魔法学校の校長をしておる。」

「ほぐ、わーつ…」

「そうじゃ。彼女はミネルバ・マクゴナガル。変身術の先生じゃ。」

「変身術…」

――マジメに、ハリー・ポッター…

 老人、否ダンブルドアが手で示した黒髪の女性に視線を移しつつ、茫然と結悟は呟く。

「ではユイゴ、君はいったいどうやってここへ来たのかね?」

 きらり、とダンブルドアの目に真剣な光が宿る。心の中さえも見抜かれる気すらするほどに、真剣な。
 誤魔化せない、直感でそう思う。

――まあ、誤魔化す気なんてないけどさ。

「正直、自分にも解りません。」

「ほう?」

「ただ、アタシにはちょっと変わった能力があるのでそれの誤作動じゃないかな、と。」

 そう言ってまた一口こくり。

「じつは、恥ずかしい話ですがさっきちょっと椅子から落ちてしまって。
 で、その時に過剰反応してしまってこんな所に…」

「ふむ…確かに筋は通っておるが、ここは少し特殊なのじゃ。」



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あきゅろす。
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