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チラウラ
意地悪攻×健気受1
目が覚めたら、浅黒い肌が視界いっぱいに広がった。目線は鎖骨のあたり、見覚えのある二つの黒子に朝から若宮の脳内は混乱を極めた。

「―――――!?」

腰に回る腕を動かそうと身体を捩ったと同時に下半身に鈍痛が走る。
まさか、と喉を慣らすがこの状況でヤってないと言われても自分だったら信じない。
更にベッドの下に落ちていたスキンのパッケージが、状況証拠だけじゃなく物的証拠として若宮を打ちのめした。
挙げ句の果てに自分は服を着ているかと思いきや、着ているのは大きめの黒いシルクのパジャマの上のみ。
下には何も身に付けておらず、悲しい事にノーパンだった。
「…………」
若宮を抱き込んで呑気に眠るお相手は、上は裸で下は若宮と同じ素材で同じ色のパジャマのズボンを穿いている。
寝顔すら、その憎らしい程の色男っぷりを見せ付ける男は若宮の通う学園の生徒会長だった。
「どうしよう…」
クールビューティーと名高い若宮の美貌から血の気が引く。泣きそうになりながら辛い身体に鞭打ち、なんとか腕の檻から脱出できた若宮はスキンのパッケージと周辺に散らばるティッシュを涙目で拾った。
ソファの上にある制服は脱ぎ捨てられたかの様に散乱していて、更にそこにはまたスキンのパッケージがあって目眩を起こしそうだった。
2発か。2発ヤったのか。
とりあえずそれをよろよろと身に付けて、部屋を出る。幸いな事に自分の部屋は真隣だ。この場合、幸いなのは今だけであってこれから先の事や己の立場を考えたら絶望しか湧かなかった。
シャワーを浴びながらしゃくりあげる若宮は、クールビューティーとは懸け離れていた。
生徒会長の真崎は、若宮の片思いの相手である。
足掛け5年、中学の頃から健気に真崎を思い続ける若宮にとって、これは最低の出来事だった。
「一緒になってしまった…」
真崎はモテる。
学園に存在する親衛隊は過去最高規模だ。
その中から何人かと遊んでいるのを知っているし、見てしまった事もある。目撃してしまった翌日はショックで発熱を起こし、3日欠席した。
彼等が羨ましいと思いながらも、若宮は彼等と一緒ではありたくなかった。
そんな刹那的に彼を愛し、割り切れる程自分は強くない。
だから友人として傍にいることを選び、少しでも同じ時間を共有したいと副会長にまでなったのに。

「うぅ…っ…なんで…」


あの部屋にあったものと同じソファで丸まって、若宮は泣きじゃくった。

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