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不器用な束縛

僕がこんなにも泣いて、しゃくりあげているというのにこの男!
「ひっあぁっ、やめ、」
正常位で再び挿入してきた。
しかもさっきよりデカい!
「っは、顔見せろユウ」
「やぁあっ…あっ、あ、あんっ」
泣き顔を手で必死に隠そうとすれば、両腕をシーツに縫い止められる。やだこの人、ドSだよ。知ってたけどね!
ぐちゅぐちゅと下肢から恥ずかしい音がして、耳を今すぐ塞ぎたい。
さっき九重が結合部におざなりにローションをぶっかけてたからだ。
「可愛いな、お前は泣き顔が一番可愛い」
「ふっ、くぅ…もう…赦して」
九重の大きな手に戒められた僕のそれは、イクにイケずピクピクと充血して真っ赤だった。
繋がった場所から、奥の粘膜まで熱くて堪らない。
もう色々と限界だというのに、九重は容赦がなかった。

「親衛隊は辞めてもいい。だが、」
「ひゃあぁっん」
「―――――いろ、」

………え?
何、何、ごめん
全然聞いてなかった。
「っう、ぁ、あんっ、あ」
喋らせて欲しい、切実に。
そろそろ日本語を話したい。
「―いいな、ユウ?」
「っ、あっわかっ、た…!」
念を押されて即座に頷く。
我ながら快感に弱くて嫌になるけれど、僕は悪くない。僕は全然悪くない。
それをわかっていながら、こんな時にそんな事を(いや、聞いてなかったんだけど)言い出す九重が悪人なだけで。

「いい子だ」

…でも、なんか凄く嬉しそうだからいいや。
実は『平凡(名前忘れた)と付き合うからお前とはこれっきりだ』って事だったりしたら、聞いてなかったって正直に言う。
君たち釣り合ってないし価値観も全然違うだろうから別れた方がいいよ、って助言してあげよう。勿論、あの子に。
親衛隊らしいっしょ?
最後の仕事がそれでもいい。

「ユウ…」
「あっ、もう…!」
「ああ、イケよ」
「あぁああっ」

解放されて、僕が射精したと同時にお腹の中が熱くなる。
断続的に注ぎ込まれる九重の欲望に、僕もお腹いっぱい。もう入らないよ。








僕は親衛隊を辞めた。
うん、辞めたんだけど。

「……なんで?」
「口に合わないのか」

いやそういう事じゃなくて。

「なんで僕は九重の膝でご飯食べてるの?」
「椅子がないからな」
「……」
生徒会御用達の中央席。
チラリと隣にいた副会長を見たら、何故か青い顔で目を反らされる。
書記と会計のふたりも。
補佐も。
転入生も、平凡君も。
僕と目が合うと明後日の方向を向いてしまう。
みんな珍しく大人しく食事をしているかと思えば、揃いも揃って顔色が悪い。体調が優れないんだろうか。

「九重、僕グリンピース嫌い」
「我儘言わずに食え」



(…あの、目のやり場に困ります)
(俺、もう生徒会辞めたい)
(いくら会長に脅されたからって、まさかずっとこんな感じ?)
(しょうがないでしょう、騒いで邪魔したらぶっ殺されます)
(………お腹痛くなってきた)
(俺達一般席で良くね?)




親衛隊は辞めても、何故か僕は九重の傍にいた。
傍どころか、今朝は腕の中、今はお膝の上。
なかなかの天国で顔が緩んでしまう。

「嬉しそうだな」
「そうかな?」
…だって実際嬉しいし、楽しいし。
僕の表情筋、今日はしっかり働いているみたいだ。

(む、無表情…!)
(さっきと1ミリも変化がないんですけど!)
(会長すげぇえええええ)


何やらコソコソと話している副会長達の後ろで、星野先輩と茅場元会長が口論していた。
仲裁に入ろうとしていた篠崎先輩が巻き添えを食らって、水を頭から浴びている。可哀想だ。
助けに行こうとしたら、九重にまた捕らえられて再びお膝に乗せられる。
「彼等は放っておけ。一生相容れないんだよ」
「…なんで?」
「あんまり報われてねぇからな、二人とも」
よくわからない。九重は何か知っている様子だけど、面倒そうに顔をしかめていた。
「…お前はあの人みたいになるなよ」
「あの人って?」
「…なんでもない」
『あの人』は相当厄介らしい。誰?
僕は僕だ。
九重の杞憂が何か知らないけれど、このお膝の上にいられるうちは、僕の世界はとても平和。
あの時九重が何を言ったかなんて、今となってはどうでもいい現金な僕だ。
差し出されるグリンピースを無視して、僕は九重の胸に機嫌良く顔を擦り付けた。



終わる





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