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俺の執事はお嬢様
貴方様の執事にございます
「お帰りなさいませ、綱吉様」
俺がそう言われたのは、仕事から帰ってきて間もない時だった。

「あー、ただいま」
いたって普通に返事をした。
が、内心は違った。もっとどもっている。

が、やはりそこはボスの威厳に関わるので
いつも通りの顔つきでいる。

「―――なんで、女が執事の格好してんの?」
まず俺は第一の質問を放った。
にこやかな笑顔がピキリと引きつったのが分かる。
「何をおっしゃいますか。私は男性ですよ」
「嘘つけ。あ、あと何で俺の部屋にいんの」
「嘘など主である貴方につくはずございません。
申し遅れました、私は貴方様の執事にございます」

今度は、俺の顔が引きつった。
軽く頭を下げると、後ろで一つに束ねた髪の毛がゆらりと揺れる。
なんか、骸の髪型に似てるな。

「リボーンの、差し金か?」

そんな事を思いつつも、この短時間で立てた仮説を(自称)執事に聞かせてみた。

それは、やっぱり本当だったらしくて。
「―――リボーン様に、やはりドン・ボンゴレには執事くらい必要だという話を持ちかけられまして。
ですが、差し金という訳ではありません」
まぁ、あいつなら無くもない話だろう。

だが(本人は男と言い張っているが)、女を執事に就任させるというのは
やはり危険すぎる。あくまでもマフィアのボスだ、命を狙われるという事も少なくはない。

「なら、お前はカタギじゃないって事だな。
どこのファミリーだ」
カマをかけてみた。
コイツがマフィアだという証拠はなかったが、一般人では絶対にないはず。

「・・・ロレッディファミリー。東イタリアにある小さなマフィアです」
「ふーん、聞いた事はあるな。宝石のように美しい女がいる・・・って噂は。
もしかしてお前の事?」
すると、バツが悪そうにコイツはゆっくりと頷いた。
「私はそこのボスの一人娘です。
お父様は病弱という事もあり、私の名を次期後継者として挙げました。ですが、
私は人を傷付けるマフィアのボスにはなりたくありません」

そして、そんな折にリボーンにあったのだ、と。
成程な・・・。だが、一つ腑に落ちない所がある。

まぁそれは後でアイツに聞くとして・・・。


「やっぱり宝石と呼ばれるだけの顔立ちはしてんだな」
「・・・っ、そんなの周りが勝手に言っているだけです」


かすかに動揺が伝わってきた。
それもそうだ、今彼女は俺と壁の間に挟まれ身動きが取れないのだから。
怯えてる表情が俺のS心を激しくくすぐる。
このまま押し倒してやってもいいが、嫌われるのも面倒くさいしな。



キスぐらいにしておくか―――


「それ以上近寄ってみて下さい。殺しますよ?」
彼女はどこに隠し持っていたのか、銃を俺の額に突きつけていた。
「――おいおい、近寄る前に殺されちまうじゃん・・・」
やはり、ファミリーのボスの実子なだけある。



だが・・・

「リボーン。いつまでそこで見ているつもりだ」
「ちっ、気配は消したつもりなんだがな」
部屋のドアの前には、黒いつば付きの帽子をかぶった二十代程であろう男の姿があった。

彼こそが、リボーン。
アルコバレーノの呪いが解けた今も、ボンゴレのヒットマンとして活躍めざましい。
そして、俺の元家庭教師でもある。
平たく言えば、師弟の仲ってトコか。

「なまえ。ツナと話をする、席を外してくれ」
「・・・・・、分かりました」

へぇ、なまえっていうんだ。つーか、最初に名前ぐらい言えよな。
リボーンがそう言うと、そいつは部屋を出て行った。さっきのように軽く頭を傾けて。


「・・・やはり、リボーン様にはかないませんね」

そうなまえが部屋の外で言った事は、俺は知らない。


ある日突然現れた、
俺だけの執事




だよな?なまえ。



あきゅろす。
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