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 僕は色々な出版社ともいつの間にか契約をしていて、当時は書くことが好きだったからそれでも良かった。
 書いて書いて、高校にも通わず家に缶詰め状態で書き続けた。
 こんなことを自分でいうのは恥ずかしいのだけれど、僕はたった1年で新人ながら人気の小説家になったんだ。

 そして僕の手は、動きを止めてしまった。

 ただがむしゃらに短期間のうちにたくさんのものを書いたからか、僕の頭は真っ白になってしまったんだ。
 書きたくても書けない、でも書かなければいけない。そんな負のスパイラルにはまったことがあるだろうか?僕は、それにはまってしまった。


『先生、今月中に2作書き上げを…』

「……書けないんです。手が震えて、ペンが持てないんです…」

『先生…』


 僕はそれでも、始めのうちは頑張って筆を動かした。
 今まで読んだ本を思い返しながら、なんとか1作書き上げようと思ったのだけれど……しょせんは人の作品。途中で何もかもが嫌になり、書き溜めたものを火で燃やした。

 それから僕は、部屋に閉じこもるようになったんだ。



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あきゅろす。
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