0.プロローグ
『星さん!星さん開けて下さいっ』
『原稿はまだですかっ!?』
『──先生っ!!』
ドアの向こうから聞こえてくる切羽詰まった声に、僕は布団にくるまり、耳を塞いだ。
全ての音が消えてなくなればいいと、目を瞑り祈りながら…。
◆
僕の名前は星野 大志。黒髪に黒目、どこにでもいそうな平凡な容姿は、可もなく不可もないような平凡な日常を生んでくれる。
とはいわない。みんなは僕のことを知っているだろうか?きっと初めての人もいるだろう…だから少しだけ自己紹介なんてものをしてみようと思う。
【星 大】
ホシ マサル、これは僕のペンネームだ。
僕はまだ17歳だというのに、『星さん』や『先生』と呼ばれることがある。世間一般でいう、新人小説家、なんてものをしているんだ。
デビューは約2年ほど前。何気なく投稿した小説が入賞し、ついには優勝までしてしまった。
そのころはこんなことになるとは思っていなかった僕だが、もう一作、もう一作といわれ書き続け、知らない間にデビューをしていたんだ。
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