、
僕はとても失礼な勘違いをしていたらしい。
彼女ではなく彼。…そう、この物語の主要人物の一人だ。
口に出さなくて良かったと、僕は安心した。
「えっと、今…中ゴチャゴチャしてまして。本来なら中でお茶でもといいたいんですが…」
「大丈夫だって、それを分かっていて僕も来たからね」
「……え?」
「手伝おうと思ってね。ダメかな?」
未來先輩は笑顔で首を傾げながら僕に問うた。
僕のような平凡な男がその仕草をすれば気持ち悪いの一言だが、この人がこれをやると様になっている。
可愛い、と思ってしまうその仕草に、僕は断りきれなかった。
中に招き、自分がしていたバンダナをせめてもの償いに未來先輩へと渡す。
償いというのは、こんな綺麗な人を汚い中に入れてしまったという、僕の中での罪のようなものに、だ。
「僕は何をすればいいかな?」
「えーっと…じゃあ服から片付けたいんで、それしてもらってもいいですか?」
「うん。…あ、それから…そんな畏まらなくていいよ」
「は、はい…っ」
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