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 そうだったのか、それは話に出てこなかったから僕は知らなかった。
 それにしても、と僕はもう一度彼女を見る。スラッと長い手足は細く、悔しいことに僕よりも背が高い。もしかしたらモデルか何かをしてるのかも…。

 そこで僕はハッとした。
 僕としたことが、玄関先で話し込んでしまった上に名前をまだ名乗ってないじゃないか。


「あの、今日からここに越してきました、星野大志といいます。えっと…」

「……ああ、僕はこの隣に住んでる望月未來。分からないことがあったら何でも聞いて?」


 ……あ、今なにかが引っかかった。けれどもそれが何なのか分からず、彼女を見て僕はこう呼んだ。


「はい、ありがとうございます。……えっと…望月先輩?」

「うん、確かに僕の方が先輩…かな?でも未來でいいよ」

「……未來先輩…」


 このマンションにいるということは、宝寿の生徒。とても大人びた雰囲気から先輩とつけたが、どうやら正解だったようだ。
 そして先ほど引っかかった違和感も気づいた。この人、自分のことを『僕』といったのだ。
 よくよく見れば肩幅は広く、女性特有のふっくらとした肉付きはない。



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