3 「お待たせー」 「おー……はっ!?早くないかっ!?」 「いやー俺風呂ってはえーの」 「湯船、浸かったのかよ?」 「いんや?」 「っ…ちょっと待てぇええ!」 「ま、またーっ!?」 第一5分で何が出来るっていうんだ!そこを詳しく聞いてみれば全身ただの石鹸で一気に洗っちゃうっていうし、もうむしろ立ったまま入るとかいうし。正直信じられなくて不潔だと思った。 もう一度風呂場に押し込めて服を脱がし、頭を洗い直してやる。俺の服が濡れてるとかもうどうでもいいくらい、コイツを綺麗にしたかったんだ。 「シャンプーは同じの使っていいからこうしっかり洗うんだよっ」 「うはー気持ちー」 「はい目ぇ瞑って」 ──ザパーッ 「リンス…は好きにしていいけど、使った方が髪にはいいから」 「お。優のサラサラだもんな。…あ、優でいーよな?」 「ああ…うん。じゃあ俺も陸って呼ぶな」 なんて話をしながらリンスを馴染ませ、もう一度体を洗わせる。それをよく見てれば凄く適当なのが分かり、1から教えるはめになった。陸のご両親、お風呂の入り方、教えてあげなかったんですか? 「湯船もちゃんと浸かる!その方が疲れがとれて体も暖まるんだ」 「えー入んなくてもいーじゃん」 「入った方がいいの。せめて100数えてから出ろ、な?」 「ちぇーっ…1234…」 「は、速いだろ!1、2、3、4…はい」 「くっ…どうせ入んねーのに」 ポツリと呟いたそれはお風呂の中ということでよく聞こえた。明日からどうしてやろう、なんてこのときもう考えてたなぁ。俺まだ中1になったばかりなのに。それからあがって髪も乾かしてやり、俺も自分のことをすることにした。 これからだね、俺と陸が仲良くなったのは。なんかもうほっとけなかったんだ。寝坊するしシャツのボタンかけ間違えるし、カードキーは常に忘れるし元気すぎてよく転んだりなんだりで…。陸もそういうときは俺を頼ってきてくれたから、ついつい甘やかしちゃったんだけど。 [*前へ][次へ#] [戻る] |