[通常モード] [URL送信]

 ぜひぜひ!なんていってる雨音だけれど、血だらけの卯月を見て内心ヒヤヒヤしてるのは、彼だけの秘密だ。


 玄関にいた卯月に雨音は突進し、そのままだったため卯月は雨音を持ち上げてリビングに移る。

 その間、雨音は高い高いと喜んでいた。



──ピタッ


「………ん?止まった、到着ー到着ー?」


「なんだ…………これは……」


「あ、忘れてたっ。みみ、見ちゃダメーッ」


「……………うわ…」



 慌てて卯月の目を隠す雨音。
 持ち上げられているから顔ごと抱き締め、卯月は困ったような声を出した。

 でも嬉しさが隠しきれてないのも事実。雨音を支えている手に力が入った。



「うー……卯月見た?」


「…………ああ」


「ちぇっ、忘れてしまえ。えいこらっ」


「いてっ……雨音、ちょ…」


「とゆーか降ろせ。見られたものはしゃーないですしなぁ……ぶぅ、隠してたのに」



 ぶぅぶぅと口でいってみせる雨音に、卯月は可愛いと小さく漏らした。
 それに、その隠していたものも卯月を笑顔にさせる。


 それは、貼り絵の卯月。




[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!