2 俺は昼は大体何も食べない。 それを知った深空は俺を昼に誘った。 「仁王先輩、お昼弁当作って来たんですけど。一緒に食べません?」 勿論後ろには幸村が居る。 「じゃあ一緒にさせてもらうかのぅ」 あまり食べる気もないが、深空に近づくチャンスだと思った。 どうせ俺が飽きるまでの事だから。 「どこで食べます?」 「俺は何処でもいいよ」 「兄貴には聞いてない」 幸村が落ち込んでいる。幸村をこんなズタズタに出来るのは、深空だけ。妹でも凄いんじゃないかのぅ…? 「屋上が良いかのぅ」 「じゃ、屋上にしましょっか。 兄貴ぃ行くよ〜」 深空は幸村を踏みつけた。 「深空………?ふふふ……」 「ヒィ!!」 やっぱり幸村の黒オーラには勝てないようだ。 さっきとは立場が逆になっていて面白い。 「ほら、喧嘩しとらんで、行くぜよ」 俺はそう言って先に屋上へ歩いて行った。 「あ、待って下さい!」 深空は焦って、犬の様にトタトタと俺の隣に来た。 その姿があまりにも可愛らしくて、不覚にも可愛いなんて思ってしまった。 「(可愛いのぅ……って、いかん!!コイツはあくまで暇つぶしなんじゃ!)」 「仁王先輩、どうしたんですか?」 「何でもないぜよ」 「そうですか?まぁ、私にはあまり関係ないですしね」 チク 何かが胸に刺さったような気がした。 「仁王先輩、ハンバーグとか春巻きとか食べれます?仁王先輩の為に一生懸命作ったんですよ」 胸の違和感と奮闘していたら、深空が話し掛けてきた。 「(胸がスッとしたのぅ…)そうか嬉しいぜよ」 ―――今思うと、俺は鈍感だったんじゃな。 [*前へ][次へ#] [戻る] |