その後、私たちは電車に乗り水族館の近くの駅で電車を降りた。 「ねぇ、雅治。イルカのショーやってるかな?」 「やってるんじゃないんかのう」 私はイルカが大好きだ。でも一番好きなのはライオン。勇ましくてカッコイいからだ。まあ、昔からそれでよく男みたいだなと言われ、からかわれた。その度に兄貴が私を守ってくれ……た…。そういえば、今日は一度も兄貴に会ってない。奇跡だ! 「どうしたんじゃ深空?」 「あ、何でもないよ。ただイルカが楽しみだから」 「そうじゃな。良かったのう」 今日は兄貴なんて忘れて楽しもう!と、そう思っていたら―――― 「やあ、お二人さん。こんな所でどうしたんだい?」 背後から声が……この声は言わずとも知れた、……兄貴の声だ。 「あ、兄貴!?」 「はあ……」 私は叫び、雅治はため息を吐いた。 「何でいつも、お前さんはこう出てくるんじゃ」 雅治が呆れたように、そして怒ったように言った。 「フフ。可愛い妹が君に食べられないか心配でね」 「あ、兄貴!?何言ってんの!」 「俺は深空を大切にしてるんじゃ。まだそんな事はせんよ」 「ふーん。"まだ"ねえ……」 「兄貴、雅治に失礼だよ!」 「ま さ は る ?」 「そうだよ雅治に失礼だよ!」 「そんな事は聞いてない。仁王に失礼だろうと俺には関係ないからね。でも……何で仁王のことを呼び捨てにしてるんだい?お兄さまは認めません」 兄貴に関係なからろうが関係あろうが、失礼なものは失礼なんだ。しかもなんだよお兄さまって、この前ので諦めたんだとばかり思っていたよ、クソ兄貴。 「兄貴にゃ関係ないもん!」 「そういう事じゃ諦めんしゃい。早ようお前さんも、彼女でも作るんじゃな」 「そうだ、そうだ」 兄貴が固まってるうちに、私は兄貴にあっかんべして、雅治と一緒に水族館へ向かった。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |