「ねぇ雅治先輩、どこに行く?」
「……のう、深空。雅治先輩ってのは辞めんか?」
……どういう事?名前で呼ばれるのイヤだったのかな……?
「そう変な意味じゃのうて、先輩ってのを無くさんかって聞いとるんじゃ」
「……でも」
「俺がそうして欲しいんじゃ。その方が恋人っぽいじゃろ?それに今日は邪魔者もおらんしのう」
邪魔者……兄貴のことか。存在自体忘れてた。でも、兄貴がいないのはたしかだし、そっちの方が恋人っぽいかも。
「ま、ままま、まさ、まさ!」
「ん?よう分からんぜよ」
「雅治!……どこ行くの?」
顔が真っ赤になってるのが分かる。言うとなると恥ずかしいもんだな〜。
「深空は本当に可愛いのう。好きな所でよかよ」
ふ、不意打ちは禁止!ここで"可愛い"がくるとは。顔が余計に熱くなっちゃうよ……
「……じゃ、じゃあ水族館に行きたい。あの最近近くに出来たやつ!」
「良いぜよ。じゃ行くかのう」
快く了承してくれた。
「うん!ありがとね雅治先ぱ……」
「雅治じゃ。……そうじゃ、間違える度に罰ゲームなんてどうじゃ?――深空からここにキスをするとか」
雅治先ぱ……いかん、いかん。雅治は妖しく笑いながら唇を指差して言ってきた。
「無理無理!!そんな恥ずかしいこと出来ないよ」「罰ゲームじゃからのう。これ位しなきゃあかんぜよ。ほら早くしんしゃい」
「え、次回からじゃダメなのかな……?」
「俺がそれを許すと思うか?」
雅治は目を瞑った。ええい、もうヤケクソだ!
「―――っ、ん」
チュ
私は頑張って背伸びをして、唇に触れるだけのキスをした。
「なんじゃ?これだけか?」
「あぁ、恥ずかしい!これだけってそれ以上何してほしいの!?」
「え、言っていいんか?」
「ああダメ!言っちゃダメ!」
雅治はまたもや妖しく笑いながら言う。その姿がカッコ良くて、あんな羞恥を味わったというのにも関わらず、最高の彼氏だな……なんて思ってしまう。
「ほら、行くぜよ」
雅治は私に手を差し伸べた。私は笑顔で、その手に自分の手を重ねた。
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