今日は雅治先輩とデートの日。久しぶりに部活が休みだからって、雅治先輩から昨日メールが来たのです。というわけで私はルンルン気分で、服選び。気分はルンルンだけど、服選びは大変……なかなか決まらない。
雅治先輩には可愛い服で会いたい。せっかく制服じゃなくて普段着なんだし。それに、雅治先輩はかっこいい。誰がどう見てもかっこいい。逆にかっこよくないなんて言う人がいたら私が怒る!
――とまあそのくらいかっこいい雅治先輩。平凡な私が隣を歩いたら釣り合わないから、少しでも可愛く見えるようにしないと。
約束は10時。もちろん午前だ。ウチから約束の場所までは早歩きでも20分は掛かる。今は9時。化粧とかあまりしないので、あと40分もあれば服も決まるだろう。そう思った私は余裕ぶっこいて服選びをしていた。
しかし――!
「間に合わない!」
私が家を出たのは9時50分。もちろん兄貴には気を付けながら。でもこれじゃあ走っても間に合わない。それでも大幅な遅刻するよりマシだと思い私は走った。
「あ、雅治先ぱーい!」
雅治先輩がいた。
私はバックを持っていない方の手を大きく振った。
「はぁはぁはぁ……お…遅れてすみません」
「いやそんなに待ってないぜよ。それにしても深空、その服似合ってるぜよ」
「ありがと!」
「プリっ」
私は満面の笑みでお礼を言った。雅治先輩は照れてしまったのか、こちらを見ずに言った。迷って、迷って、迷いまくったからな〜。良かった。私は胸を撫で下ろした。
「(……本当に、幸村がシスコンになる理由が分かるぜよ)」
「……雅治先輩?」
雅治先輩は何か考えごとをしているみたいだ。私は先輩の方を見て、名前を読んでみた。身長差があるから、見上げるような形になるんだけれど。
「いや、何でもないぜよ。あと今みたいなことは俺以外にやっちゃいかんぜよ」
「……う、ん?」
「(上目遣いの凄さってやつを、よく分かっとらんのう)」
雅治先輩が何を言いたいのかよく分からないけど、まあいっか!
「じゃあ雅治先輩にだけやるね」
「おう。そうしんしゃい」
雅治先輩は嬉しそう笑って、頭を撫でてくれた。
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