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「あっ、祐奈!!ありがと!!
なんで俺が弁当忘れたの知ってるの?」
俺もそれは気になった。超能力か!?
「母さんからメールがあったの!!だからだよ。」
普通の答えだった…“超能力”なんて考えた奴…激ダサだな……
「そっか!!まぁ、ありがと!!」
「ううん。別にいいよ。
―――あ、宍戸先輩ですか?」
「…ん?あぁ。」
この兄弟の会話を隣で聞いていたら、俺は慈郎の妹に話し掛けられた。
「私、芥川慈郎の妹なんですけど………
私と走りの勝負してください!!」
「は?」
何を言うのかと思えば、走りの勝負をしてほしい…だと?
「なんでだよ?」
「私、今年陸上部に入ったんですが、実力を試すために!!お願いします。」
「んな事、陸上部の奴に頼めよ。」
「宍戸先輩がいいんです!!
だって、陸上部の先輩に私が勝ったら……申し訳ないじゃないですか?」
ビクっ
こいつかなりスゴいオーラが出てる。
真っ黒い…
例えるなら、そう……ラスボスの様な…
「宍戸ぉ〜俺からも頼むCー
走ってあげて。祐奈かなり速いしさ!」
慈郎まで口を挟んできやがった…だが!!
「イヤ。辞めておく。」
あんな真っ黒い奴の側にいたら殺される…
オーラだけでも人を殺せそうだ…
女…しかも年下相手に激ダサかもしれないが、あれは本気(マジ)でヤバいぜ…
俺は全速力で走り出した。
「あ、宍戸先輩!!待って下さい!!」
奴は追いかけてきやがった…
「ま、また今度にし、し、し…しようぜ!!」
しばらく逃げて、俺はしょうがなくそう言い放った。しかもどもっちまった…
激ダサだぜ……
だが
「ホントですか!?」
奴は止まってくれた。
「あ…ああ…」
「じゃあまた明日昼休みに来ますね。
私は制服のままでも十分走れますけど、宍戸先輩は?」
「お、俺も平気だ。」
「分かりました。それではサヨウナラ…」
奴は頭を下げて、自分の教室へ帰っていった。
「はぁ…」
この時俺は助かったと思った。
だけど奴はそんなに甘くなどなかった。
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