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...so, I love you. 2

「残念だな。俺はお前の憧れるような“王子様”にはなれないぜ、なる気も無いがな」


別に特別気に入った訳ではないイラストに目を落とした儘、彼が言う。

庭に咲いた花が風に乗って香りを届けにやって来る。

優しい香りだ。


「…気に入ってはいるけれど、私、そのお話の王子様もお姫様も、好きじゃないの」


その言葉に、彼は顔を持ち上げると不思議そうに眉を寄せる。

その時目に映った栗色の髪を風に靡かせる彼女は、唯だ唯だ綺麗だった。


「王子様は元々大人しい性格で、争い事も苦手な優雅な方なの。だから彼は大勢の部下を連れて魔女の城へ行き、彼等に魔女を攻撃させて…弱ったところに唯だ一度剣を振るっただけ。…お姫様もやっぱり大人しくて、魔女に捕らわれてからも、唯だ窓から自らの不幸を嘆いて歌うだけ」


彼女は其処まで言うと、不意に薄くヘビーピンクに彩られた口唇に弧を描いた。

…あの頃と変わらない、あどけない笑み。

そう、あの頃と、何も。




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