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年下のオトコノコ
1.


阿部くんはオレより7ヶ月も年下で。だからオレはもうじゅうろくさいだけど、阿部くんはまだじゅうごさいなんだ!




15才と16才との壁は厚い。いっこしか変わらないけど15才はまだ中学生の幼さが残っているような感じで、16才は少し大人になったような響き。

なのに15才の阿部くんは16才のオレよりも、しっかりしていて堂々としている。その真っ直ぐとした姿勢にオレは見惚れて焦がれる。

オレの事を頑張ってる好きだよと言ってくれた阿部くんを、いつの間にか女子に向けるべき感情で見るようになっていた。そんなオレを気持ち悪がりもせずに阿部くんは受け入れてくれた。

嬉しくて。
嬉しくて。

でも想いが通じてもそこで終わりではないという事を知る。

そこからが大変。

前よりも近い場所で阿部くんを見る事が出来るようになると、阿部くんへの想いは募るばかりで。

ドキドキするんだ、阿部くん。

でもね。

イライラもするんだよ、阿部くん。

なんでだかわかる?

それは阿部くんがオレがどれだけ阿部くんの事好きかっていうの、気付いてないからだよ。

帰り道、並んで歩いていると少し掠った手の甲が熱を持ち始める。その手をギュッと握りたいと思う。そう思う時のオレの顔は林檎のように赤いはずなのに、阿部くんは気付かない。

「なに、ハラ減ったの?」

オレはがっかりする。阿部くんは好きな子に触りたいとか、もっと近づきたいとか思わないのかな?それともオレの事触りたいと思う程好きじゃない……?

もしかして阿部くんはオレの事好きだって言ってくれたけど、勘違いだったかもって思ってるのかな?普通よりちょっと好きだっただけなのにって。

だから何にもしないのかな?
触れてくれないのかな?
それともこんな事ばっかり考えてるオレは、へ…へんたい…なのかな?

マイナス思考のオレの頭の中はドンドン悪い方に向かって行って、とうとうポロリと涙が零れてしまった。

立ち止まってぐじゅぐじゅと泣いていると、阿部くんがそれに気付いて傍に走り寄って来てくれた。

「三橋…?」

阿部くんが心配そうにオレの名前を呼び、肩に手を置いた。その時、オレの心がじゅわっと溶けてドキドキと胸を鳴らす。肩に伝わる阿部くんの掌の温度に少し期待しながら阿部くんを見た。

「三橋…」

黒い瞳がゆらゆら揺れてオレは更にドキドキする。

なのに阿部くんは。

「泣くほどハラ減ってんだったら早くコンビニ行こうぜ」




やっぱり阿部くん、がっかりだよ。




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あきゅろす。
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