LOVE ME 1. ヴーッヴーッと響く携帯のバイブ音で目が覚めた。外はまだ夕暮れ。中途半端に閉められたカーテンの隙間から、夕暮れ特有の光が差し込み部屋をオレンジ色に染めていた。 あまり昼寝し慣れていない体に、中途半端な眠りは返って体をだるくさせる。 でもメール着信画面に表示されたその名を見て、ぼやけていた頭も吹っ飛んだ。 『榛名 元希』 慌ててメール画面を開くと 『電話する』 たったひと言。 なんだコレ。 いったいあの人、何考えてるんだ? そう思った途端、携帯が鳴った。慌てて1コール目で取る。 「…もしもし」 『よお』 あ〜昔よく聞いたふてぶてしい声。 「何の用デスカ」 『アイソねぇなぁ…。まあいいや。オレ今、お前んちの前にいんだぜ』 はあぁ〜〜〜〜!? オレはその辺に落ちてる下着とトレーナーを着込み、窓の外を見た。 確かに眼下には元希さんがいて、オレに向かってヒラヒラと手を振っている。 「帰ってください」 『はぁ?フザケんな。中入れろ』 「嫌です」 『チッ』 舌打ちが聞こえた後、しばらく静かになった。諦めたのかと思いきや、元希さんは玄関の方へ歩いて行きインターホンを連打しだした。 何考えてんだ、あの人は!鍵はかけてあるから勝手には入って来れない。今この家にはオレだけだから、このまま無視してれば諦めて帰るか…? だがピンポンピンポンと鳴り響く音は耳障りでイライラする。 ベッドの上の盛り上がった毛布の下から、もぞもぞと三橋が出てきた。 「あ、阿部くん。誰か来た…」 そうなんだ…。三橋がいるんだよ!しかも全裸で!! 今日は部活がミーティングのみで早く終わった。うまい具合に今日、オレんちの家族はみんな帰りが遅い。こんないいタイミングは滅多にないので、オレは張り切って三橋を連れ込んだ。そしてする事をして、惰眠を貪っていたのだ。 今だインターホンは鳴り続ける。 オレは観念した。 「三橋!オレが戻って来るまでに服着とけよ!!」 「え?あ、うん」 寝起きでぽやんとしている三橋に服を投げつけ、オレはズボンを履き階段を駆け下りた。 [next→] [戻る] |