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BL部屋
休日、私達らしくない《英日》
今回は黒子ではなく、ヘタリアのイギリスと日本です。日本がやたら乙女ですが一応BLなので苦手な方はご注意を!!















今日はアーサーが、恋人である菊の家に遊びに来ていた。
と言っても、ただっ広い畳の部屋に二人してゴロゴロ、読書などしながら気ままに過ごす。

アーサーはこの畳が好きだった。今の時代は日本でもフローリングが増えているらしいが、畳のほうがずっといい。この独特な床を見るたびに、気真面目な恋人を思い出すから。







「アーサー」

縁側の傍で、風に当たりながら本を読んでいた菊が、ふとアーサーに声をかけた。

「ん??」

「えと、お茶はいかがですか?」

「おう、もらう」

菊の入れたお茶は美味しい。アーサーが断るはずはなかった。

今度はお茶を飲みながらの読書が続く。



「アーサー」

「んー??」

また菊がアーサーに声をかけた。今度はなんだろう、とアーサーが返事する。

「ごめんなさい、何でもないです」

「そうか…??」

少し様子がおかしい菊に首を傾げながらも、そのまま本を読み続ける。



「アーサー」

「今度はどうした??」

「えぇーと、特に用は無いんですが……」

「なんだよ、さっきからいやに絡むな」

「ご、ごめんなさい…」

アーサーの言葉に気分を害してしまったかと、急いで謝る菊。

「違う、怒ってるわけじゃねぇんだ。その、なんつーか、いつもと違えから体調でも、」

悪いのかと…と、語尾は消え入りそうな音量。言っている途中で、自分のキャラじゃないと思い直したらしい。頬にうっすら朱さえ挿しているようだった。

そんなアーサーの様子に軽く驚きながらも、菊の心は暖まっていくのだから仕方がない。

「ふふ、心配かけましたね。でも体調が悪いわけじゃないですよ??」

「じゃあどうしたんだよ」

眉間にシワを寄せるアーサーに、ニコニコと笑いながら菊は言った。

「愛する人が傍にいて、名前を呼べば返事が返る。それって結構、」


幸せだと思いませんか??





こいつは常識人の癖に、たまにド天然だ。それは分かってる。でも、なんで恥ずかしげもなくここまで言い切れるんだ!?本当にこいつはどうかして「アーサーは、どう思います??」

「うおっ、俺!?俺は……」

軽くパニックになって固まったアーサーに、いつの間に近くに寄ったのか、菊が同意を求めるように顔を覗き込んだ。


あ、ちょっとヤバいかも知れない。
アーサーは自身の身体が警笛を鳴らすのを聞いた気がした。

畳に手をつき、身を乗り出すようにしてこっちを見ている菊。当然ながら超至近距離。そしてごく自然な上目使い。
いくら実年齢がかなりの老体といえ、アーサーに耐えられるものではなかった。

グイッと手を引き、バランスを崩した菊をアーサーが抱き留める。

え??という顔で菊が呆けている間に、その唇にキスをひとつ。

「んな…なにするん……?!」

真っ赤になって声をあげた菊の口を塞ぐように、また口付けるアーサー。
今度はそのキスが激しいものへと姿を変えた。

激しく深いキスを続け、菊の息が持たなくなったら唇を離す。そんなことを何回も続けるうちに、菊は完全に息があがっていた。

「はぁ、はぁ…もう、降参、です……」

ぐったりと疲れた様子の菊が、やっとそれだけ言葉を搾り出す。

「情けねぇな、もっと体力つけろよ」

「こんなことは若い人達の特権なんです、老獪な私達がすることじゃありません!!」

顔を染め上げたままの菊が激昂して叫ぶ。
そんな菊に、今度はアーサーが問い掛ける。

「お前、幸せじゃないのか??」

「??」

意味が分からずハテナを飛ばす菊。

「名前を呼べば返事が返る。俺だって幸せだよ。
でも、近くにいるなら俺はもっとお前を感じたい。それもすげー幸せだと思わねぇか??」

らしくねぇけど、と視線を反らすアーサー。







そんな。
私は、怒ってるのに。
やめてよ、許してしまいそう。
いつもは照れ屋なくせに、こんな時だけ真顔で言うなんて、ずるい。









「おい、菊??まだ怒ってんのか??」

「怒ってませんっ!!」

気恥ずかしさに、思わず菊の声が鋭くなる。

「嘘つけ、刺々し過ぎるだろ。そんなに嫌か??」

少し強張ったアーサーの表情。あまり表情を変えないアーサーの、菊にしか分からないような、僅かな変化。

違う、そうじゃなくて。

「違います!!そうじゃなくて……」

「じゃあ、なんだよ」

ふて腐れた様子のアーサーに菊は何と言い訳しようかと、考えて、考えて。









「幸せに決まってるじゃないですか…!!!」



言い訳はしないことにした。

こっちこそ、いい年してこんな言い方、らしくないけど。
あの照れ屋な彼が真顔で言ってくれた言葉は、本当だと信じたい。
そして、自分も同じ気持ちだと、誰にも負けないくらいあなたが好きだと、伝えたい。


そんな菊の気持ちまでは理解出来ていないだろうが、アーサーは微かに、だが確かに微笑んだ。





ドクン………





また跳ね上がる体温を感じながら、菊はしみじみ考える。

今日は本当に良い日だ、アーサーの表情が、気持ちが、こんなにもよく見える。





たまにはらしくないことをしてみるのもいいかな、なんて。






*****
初めてのAPH小説でした、いかがでしたか??。感想に少し登場した友人に《順リコの絵を描いてあげるから》と言われて、それ欲しさに等価交換で書いた英日です。
しかし等価にはとてもなれない、残念な仕上がりに。
執筆中になぜかやたら恥ずかしかった作品でした。妄想炸烈で申し訳ない限りです、ライカ様、本当にごめんね!!!

ライカ様のみ、お持ち帰り可です。


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あきゅろす。
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