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BL部屋
涙雨《高緑》
誠凛vs秀徳補完ネタ。
愛はあるが糖度ひかえめ。






「高尾、少しいいか」

「主将、何スか??」

何とはなしに、随分前に緑間が姿を消した方向へ視線を送っていると、大坪サンに話し掛けられた。

「緑間、預けて大丈夫か」

「あー、もう結構時間経ちますしね。分かりました、拾って帰ります」

「すまない、監督にも許可とったからお前らは別行動で直帰してくれ」

いくら緑間がチームの中心になるからと言っても、あいつ一人の為に帰る時間を遅らせる訳にいかない。だが今のあいつに他の部員を会わせるのは危険過ぎる。そんな意図を一瞬で汲み取る自分は相変わらず要領がいいくせに貧乏くじだと、心の中で苦笑した。

「あいあいさー」

先程から激しさを増す雨に、体調管理もろくに考えずに打たれているだろう相棒を探しに俺はロッカールームを出た。

探して探して、やっと見つけた緑間はただ黙って上を向き、雨を受けている。特徴的な緑の髪もジャージも水を吸って重そうだ。何より緑間自身が足を動かすことも出来ないくらいに重くなっていて、そんな姿に耐え切れず声をかけた。

「真ちゃん、見ーっけ」

「高尾か…」

緑間は相変わらず上を向いている。声だけですぐ俺だと分かってもらえたのは少し嬉しかった。
でもそろそろ目を合わせてくれないと淋しいかな。

「その格好で口開けたら雨飲んじゃうよ??」

「少し黙っていろ」

俺の軽い言い方をぶった切るようなにべもない物言い。今その頭を支配するのは負けた悔しさなのか、過去の輝かしい記憶からくる惨めさなのか。俺にそれを知る術はない。

「うん、黙る。でもそのかわりこっち来て、そこにずっと居たら風邪引く」

「構わん、どうせ試合はしばらく無いだろう」

「俺が構う。お願い、言うこと聞いて」

それでも緑間は目をつぶったまま動かない。仕方ないのでこっちが緑間のところまで行くことにした。雨が次々とジャージに吸収される。
間近で見たこいつは195pなんて思えない頼りなさで、すぐに壊れてしまいそうだった。

キセキの世代ってのは皆どこか狂ってると思う。純粋だと言うには恐すぎる白さ。そして、常人を巻き込む程の危ない魅力を含んでいる。
天に愛された人に愛されたら、少しは自分も特別になるのだろうか。何も持って生まれなかった俺にとっては甘すぎる誘惑。

それほどに輝きを放つ人間は魅力的だった。

「高尾…?」

「一人で溜めるなよ、何の為に俺がいると思ってんの。もう個人技だけのバスケなんてやってないでしょ??」

もし俺が可愛い女の子だったら、躊躇うことなく抱き着くんだけど。
生憎そうじゃないから、代わりに一緒に雨に打たれることにした。

隣から見上げた色白の顔には数え切れない雨と、見たくなかった涙が一筋流れていた。







(全て亡くしたところから、もう一度)(君の支えになるなら、幸せ)




*****
ライカ様リク《高緑》。
というかいっそ高⇒緑。

この流れでいくと桃井ちゃんからの電話はいつかかってくるんだろう…。

補完してないじゃん、とか、言っちゃだめ!!

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