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どうしようもないことなんです
何度でも
あなたが好きだと叫びたい!












じゅーだいめじゅーだいめじゅーだいめ!
俺貴方が好きです!大好きです!
誰よりも愛してます!

「だから抱きしめてもい「獄寺くん」
「はい!」

「もう叫ぶの禁止!!」
「え」
「ていうかここ学校の廊下!何できみは外でもそうなの!」


次叫んだらもう知らない!!
そんな風におっしゃって、長い廊下を駆けていくあなた‥


ちょ、てか、え、

「ぇえぇぇぇぇぇええ!!!!!!」












「じゅー‥だい、め‥」

朝に(十代目に愛を)叫ぶ禁止令を出されてから4時間目真っ最中の今まで、俺はずっと屋上に居る。
授業なんか知らない。クソくらえだ。
そんなもの気にならないくらい俺は、今自分でも自信があるくらい憔悴している。もう落ち込みすぎて何かがやばい。
だって愛しくて愛しくて仕方がない十代目に、あんなことを言われてしまうなんて…

悲しいと同時に悔しい。
愛するあの方の期待に沿えないなんて、右腕にあるまじき失態だ。
勿論恋人としても、ひどく悲しい。

嫌われただろうか。
もうお側に居られないのだろうか。

そうだとしたら、もう俺は存在する意味すら無ぇ。
俺のこの体も心も。
全ては十代目のために在り、十代目のために使われたいというのに。

(やべえ、死ねそう)

「はあ‥」

吐き出した溜め息が、更に気持ちの重さを増長させていく。
うわ言のように繰り返している自覚はあるが、十代目を思い出す度に口から勝手に出て来るからもう抑えることなんて出来なかった。


でも、やはり。
十代目、少しだけひど過ぎやしませんか?

だって貴方が好きだと大声で、胸を張って叫べないなんて!


「こんなに好きなんスよ‥」

もちろん十代目が悪いだなんてそんな事これっぽっちも思わないけれど。
ただ、

この溢れ出て止まらない、貴方への気持ちをきっと貴方は知らない。

万物には全て終わりがあるというけれど。
俺の中にある十代目への気持ちは尽きることを知らないどころか次から次へと溢れ出て、日増しに色濃く温かくなって膨らんでいく。
無限にあると断言してもいい。それくらい、俺は本気であの方が大切で、愛おしいんだ。

でも
でも貴方は、

「貴方にとっての俺は違うんスか‥」






「‥ごくでらくん」


え、

「獄寺くん、」
この、声 は、


「‥じゅうだいめ?」
「良かった、ここに居たんだ」

1番聴きたかった声に頭を上げれば、今1番逢いたかった十代目が近くにきていた。
酷く安堵したような呆れたような哀しいような顔をして、俺の隣にゆっくり座る。

「じゅ、じゅうだいめ、あの俺「ごめんね」
「え」
「あんな風に怒鳴って」

本当にごめんと、俺の愛しい人は蜂蜜色の頭を俯かせて呟いた。


どうして、
どうして貴方が謝るんですか、悪いのは俺の方なんです、俺が悪いんです、よ


「本当はね、嬉しかったよ、好きって言ってくれる、君が、俺は大好きだから……でも、」


でもすっごく恥ずかしくて‥
だって学校だからさ、その、皆居るし。
だからつい、あんな風に


「本当は、俺もだよって言いたかった」

「じゅ、だ‥いめ」

見詰められた澄んだ瞳が綺麗で綺麗で。
上手く言葉が出てこない。
貴方は今こんなにも必死になって
こんなにも悲しげな表情で言葉を並べて下さっているというのに。


「じゅー‥だいめ‥」


情けない声で貴方を呼ぶしか出来ない自分を殴りたくなるけど、上手く言葉を紡げない。
だって、だってだってあまりにも、


「…十代目、」



本当に本当に、嬉しかったんです。



「ごくでらくん」
「抱きしめてもいいですか」

頷く貴方に泣きそうになりながら微笑んで、ゆっくり出来るだけ優しく抱きしめた。

ふわり、と
掠める貴方の柔らかい髪も、華奢な身体も匂いも全て貴方を認識するには十分過ぎて。

「あったかいです」
「うん」

貴方が俺の腕の中に居てくださる、それが本当に、本当に幸せだった。
俺がぎゅうっと更に抱きしめれば、同じくらい強く抱きしめかえしてくれる貴方。
もう二度と離したくない、ずっとこうして居たいと思わせる程、絶対唯一の存在の貴方。

なんて幸せなんだろう。
今死ぬなら最高かも知れない。


「もうさっきの無しね」
「何がっスか」
「あの、ほら、叫ぶの」

だって獄寺くんが叫ばないなんてなんか変だし、と照れたように言う貴方。
ああなんてかわいらしい。
けれど、

「でも、俺、またご迷惑に‥」
恥ずかしさから来るものと分かってはいてもやはり。
貴方が一度でも嫌だと言ったことを何度もするような馬鹿にはなりたくない。

でも貴方は俺の言葉を聞いた瞬間少しだけいじけるように口を尖らせた。

「だから!あれは恥ずかしかっただけで‥本当だよ?全然嫌なんかじゃないんだ」

見上げるようなかわいらしい上目使いがどうしようもなく愛しい。
嫌じゃないだなんて、信じていいだろうか、付け上がってもいいのだろうか。

「ほんとーですか」
「ほんとーだよ」

これがその印、と言うと共に俺の唇に温かくて柔らかい感触が一つ落ちてくる。
一瞬の間の思考停止。
それが貴方の唇だと理解したのはそれからたっぷり10秒後で。


「じゅっじゅ…じゅうだっ…」
「ごっ獄寺くん、ビックリしすぎだよ!」

やっと出せた声は意味を成さないし、多分俺の顔は真っ赤な上に心底情けない顔だろう。
しかし貴方からは初めてで、俺は凄く凄く嬉しくて。

「じゅーだいめえええ!」

我慢出来なくてがばりと強く抱きしめれば耳まで真っ赤になる貴方との距離がゼロになる。


あったかくってこんなにも心地良い。
泣きたいくらい、ただ貴方だけこんなにこんなに愛おしい。

嗚呼やっぱり俺はこの方が大好きなんだ。


「ちょ、獄寺くん!痛い!」
「すっすみません!…でも、」
「ん?」

腕の中にいる貴方を見つめて
以前に貴方が大好きだと言って下さった笑顔を向ける。
貴方のためになら表情一つさえ、こんなに自然に笑えてしまうから。

「愛してます!じゅーだいめ!!」


最大の愛を込めてそう叫んだら、真っ赤な貴方が今度こそ
「俺もだよ」って笑ってくれた。















これからもずっと大好きな貴方に
溢れる愛を叫びましょう!

(じゅーだいめぇ!)
(やっぱ恥ずかしいなあ)




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