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時間よ止まれ
なんていう願いでも
きみは叶えてくれるのかな。








「時間が止まれば良いのに」

獄寺くんの家に来て宿題を教えて貰って、終わって二人でまったりしてる、そんな時。
俺は、獄寺くんに後ろからすっぽり抱き込まれながら呟いた。

「じゅーだいめ?」
どういう意味ですかというニュアンスを込めた声が耳元にかかっていちいち恥ずかしい。
でもそれがひどく心地良いのも確かで。
なんだか無性に嬉しくて、彼に見えないのをいいことに思わず少し笑ってしまう。
だって、このまま時間が止まってくれたら最高じゃない?

「獄寺くんとずっと一緒に居られる」

言った途端、
俺を抱きしめる腕がびくっと震えた。
なんだか可笑しいなあなんて思ったけど、俺だって多分顔が真っ赤だろうから何も言わない。

ただ少しだけ、抱きしめる手が強くなって。

「十代目」
「ん?」
「好きです」
「うん」
「‥でも俺、」

「うん?」

獄寺くんは歯切れ悪くそこで一旦言葉を止めて。
どうしたのかなって思っていたら。

「俺にはその願い‥叶えられません」

ああなんだ、そうか。
獄寺くんは真に受けやすいんだ。俺が願う事ならなんでも頑張って聞いてくれようとする。
大丈夫だよ、本当に時間を止めるなんて誰にも出来ないんだから。

「大丈夫冗談だよ、時間は止められないもんね」

「いえ、そうではなくて‥」
「え?」


どういう意味?と言って獄寺くんに振り返ったら
なんでだかすごく切なくて優しい、翡翠の目に見つめられてた。

ああ、きれいすぎて吸い込まれそうだなんて呑気に思っていたら、
俺は、と小さい声が聞こえて更に強く抱きしめられて。

「貴方との時間を止めたくありません」


心臓がどくんと鳴った。
身体が熱い。
だってきみの言いたいことが分かってしまった。

「貴方が願うことなら、俺は何だって叶えます。貴方が、止めろとおっしゃるなら何だって。俺の心臓だって止めてみせます」

「‥やだ、死んじゃうじゃん」
「例えばですよ」

俺が不機嫌に言えば、獄寺くんはすみませんと笑って、でもと続ける。

「あなたと過ごすこの時を、止めるなんて俺、嫌です」


貴方の言葉、仕草、表情全て
変化していくのを見ていたいんです。

貴方の傍で貴方を愛して
触れてもっと、貴方の全て感じたい。

貴方を守って、貴方のために
生きて貴方と時間を刻みたい。


「今日より明日貴方が好きになって、明日よりあさってはもっと好きになります、だから」


貴方と過ごす時間は止めたくありません、と。
いつの間にか向きあっていた彼に、俺はまた抱きしめられた。

すごく、あったかい。
どうしてそんなにもきみは、俺の全てを受け止めてくれるの。
だから俺はまた今日も、きみが大好きになるんだ。


「‥獄寺くん」

もっと言いたいことあるのに。
好きすぎて苦しくて思うように声が出ないから、代わりに獄寺くんにぎゅうっと抱き着いた。
これで俺の想い全部、伝わったらいい。

「あいしてます、十代目」
「俺も、あいしてるよ」


時間が止まらないように、俺たちも歩いていこう?
俺だって、きみと同じ想いなんだ。


「俺、多分明日はもっときみが好きだ」
「俺だって負けません」



そういつもみたいにニカって笑って。
ああ、本当に大好きだよ。

時間を止めることじゃない。
本当の俺の願い、もうきみは知ってくれていたね。

「しあわせだね」
「すごくしあわせです」











だからこれからも、
ずっと俺の傍で笑っていて。

(約束だよ)
(貴方が望むならいくらでも)





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